Episode No.352(991012):続・親はつらいよ 今週は月曜日が振替休日だったので、今日初めて会社でこのページを開く・・・という方も少なくないたろう。 いきなり「続」なんで何の話だか、よくわからない方もいらっしゃると思うが、ご面倒でも昨日の分を先に読んでいただければ幸いだ。 さて、出産は女性にとって命がけの大事業である。 私も最初の子が生まれた時には、分娩室に向かう直前までカミさんに付き添っていたが、悪魔でものりうつったかのごとく苦しむ自分のカミさんを見るのは何とも忍びない。 しかし、忘れてはならないのは、母親同様にお腹の中の子供も同じように苦しんでいる・・・というコトだ。 ことに出産直後に苦しみから解放される母親とは違って、赤ん坊の方は、まさにそこから人生の苦しみを知るコトになる。 それまでは呼吸も食事も自然に母親の胎内で摂取できていたモノが、生まれたとたん、自分の肺で力いっぱい空気を吸ったり吐いたり、一生懸命ミルクを飲んだりしなければならなくなる。 ABO・・・といえば血液型のことだが、赤ん坊は母親の胎内にいる時には、母親の血液も自分の血液もいわばつながった状態でいるワケだが、お腹から出てからは、自分の血液の抗体を強めていく必要がある。 母親と赤ん坊の血液型が異なる場合には、なおさらだ。 生まれたての赤ん坊には黄疸の症状がよく見られる。 軽い場合には、そのまま自然に治るのだが、それが強い場合にはABO不適合の疑いがある。 自分の血液型の抗体が弱まっていくと、異なる血液が全身にまわって、さまざまな障害を引き起こす危険性がある。 先週の土曜日はBBSにも書いた通り、息子の運動会があった。 その会場に入院中のカミさんから電話が入り、赤ん坊にABO不適合の疑いがあるので赤ん坊だけ別の病院に移ることになったと聞かされた。 早速、そこから赤ん坊が移された病院に言って主治医の話を聞く。 ABO不適合の症状が進むようだと、血液交換が必要だという。 つまり、体内の血を全部入れ替えるというのだ。 こういうケースは、この病院だけでも年間数例はあることらしい。 ご承知の通り、輸血にはいろいろと問題が多い。 さらに血液交換によって起こされる副作用の問題もある。 病院としては、親の承諾なしには万一、必要性があっても治療を進められないのだ。 こうなると、もう神だのみしかない。 幸い病院を移動してからは、光線療法という光合成みたいに自分の血の抗体を活発化させる治療で、数値が好転し、血液交換という大きな治療を施す必要性は、ほぼなくなってきた。 こういう精神状態は親になってから最初の経験だったが・・・。 例えば仕事をウマくこなすコトにしても、人と上手に付き合うコトにしても、こうして親になってみると、すべては親としてやっていくための修行のようにさえ思えなくもない。 そりゃあ子育てのない人生もあるかもしれないが、少なくとも私は今さらそんなコトを言える立場にはないし、おそらく自分を育ててくれた親も同じような思いを幾度となくしてきたに違いない。 未熟児でもなかったのに保育器に入れられた息子に対面。 とくに黄色いワケでもないし、ミルクも良く飲んでいて体力もついてきているというので、ひと安心。 まだ目の前で見ている私の姿など何もわからないだろうけれど・・・。 と、いうワケで、ウチの次男が生まれて初めて乗った車は、病院を移動する際の救急車だった。
参考資料:できれば、したくなかった経験による・・・
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