でじたけの「人生日々更新」命を考える夏休み〈3〉

Episode No.7180(20210814)[日記]Diary
命を考える夏休み〈3〉

長生きすることが幸せ
…だと信じていた頃は

のんびりしていた
…と思う

宿題の締切が延びた時のように

束の間の安心感が
スタートを遅らせ
結果…慌てることに変わりはない

それに
長生きすることが幸せだとしたら
早く亡くなってしまった人たちは
みんな不幸せだったことになってしまう

しかし…そうではないと思う

人は呼吸ができなくなって死に至る

死因が何であれ
最期は同じことだと思う

息と同様に発する声…
声こそ命を感じさせるものだ

亡くなってもそこに
その人の姿はしばらく残るが
その声を直に聞くことは
二度とできない

亡くなった人を思う時
一番思い出すのはその人の声だ

17年前に亡くなった盟友が
病室のベッドで最期に言った言葉は

「畜生!」…だった

その後も呼吸が止まる直前
断末魔の中で
必死に何か言おうとしていたが
それはもう声にならなかった

ただ奴の目を見て

「わかってる」
…と返すことが精一杯だった

結婚は早かったが
子供ができたのは遅かった奴は
半分、子供を諦めかけた時
夫婦でヨーロッパ旅行をした

2人きりでやっている会社で
半分の社員が半月会社を空けた

独りきりで仕事をしている間…

もしこのまま
奴が戻って来なかったら
どうなるだろう

…と
薄暗い事務所でふと思った

当時
奴にやってもらっていたこと

会社の経理
コンピュータ関係

そして何より…
自分のビジョンを話す
最良の相手だった

そんな奴がいなくなったら

おそらく
その役を別々の
何人もの人間に
頼む必要があるだろう

いったい何人必要なんだ?

奴が帰国した後
そんなことを考えたと話したら
奴はこう言った

「そう思ってもらえたなら嬉しい」

まさに
本田宗一郎の盟友
藤沢武夫
を彷彿とさせる

だが残念なことに
想像は現実のものとなってしまった

ところが…
気づいてみれば

今自分のまわりには
奴がやってくれていたことを
そのまま継承するように
やってくれている人たちが沢山いる

それどころか…
あり得ないような
奇跡的な縁にまで恵まれている

これはもう
あっちの世界で
奴がいろいろ画策してくれている
…としか思えない

奴の話を聞かせた人には
いつも言ってるんだ

うちの会社は
…あの世にも支店がある

だから…人生日々更新

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