でじたけの「人生日々更新」歴史を体感できる年頃

Episode No.6751(20200401)[偉人]Great man

歴史を体感できる年頃
Walk to feel the history

吉村昭という歴史小説家を知ったのは、
残念ながら亡くなったずっと後…
つい数年前のことだ。

映画化された「桜田門外ノ変」など、
数多くの歴史ものを
嘘は絶対に書かないという
ポリシーを貫いて作り上げた、
類い希なる作家だ。

全国津々浦々を舞台にした
作品の数があまりに多すぎて、
遅読な自分には、
まだとても読み切れないが、
講演の録音は繰り返し聴いている。

熱心な中学生ファンから
小説家になりたいと相談をもちかけられ、
小説というのは
文章がうまいから書けるものではない。
人生経験を積まないと
書くことはできない
…と答えたエピソードがある。

人生経験…
それは人によってさまざまだが、
偉人の話を調べていると、
何かを極めた人たちの
結論はみんな一緒であることがわかる。

何を通して、その人間力を
養ったかの違いはあるものの、
行き着く先は同じ境地…。

どんな分野の偉人の格言であっても
心に響くのは、
そうした理由があるからだろう。

歴史の読み方などと
少々偉そうなことを書いた
が…
同じ歴史を読んでも、
子供の頃、読んだ時と
大人になって読んだ時とでは
感じ方は違うし、
読み取れるものの度合いが違う。

単純な話…
ラーメンについての説明を読んでも
ラーメンを食ったことが
ある人とない人とでは、
捉えることができるものが、
まったく違う…ということだ。

吉村昭という小説家は取材魔で、
風体はさながら刑事コロンボ。

描こうとする場所には
必ず足を運んだという。

むろん、当時と現在とでは、
建物も景色も変わっているが、
そこに行かないと
感じることができない空気がある。

実際にそこを歩くと…
描こうとしている人物画
移動した場所までの時間や、
その季節、そこを歩いたら、
どれくらいの汗が出るか
…ということを実感できる。

そしてその時、何を思ったか…
それはある程度の人生経験がないと
…想像すらできない。

若い頃なら経験しなかった、
足腰の疲れも実感できるしね。

だから、人生日々更新。

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