でじたけの「人生日々更新」歴史上の友人

Episode No.6549(20190809)[信条]Creed

歴史上の友人
Get to know the great man

司馬遼太郎が
歴史と真実について語る講演の中で、
こんな例え話を披露していた。

ある男が辛そうな顔をして歩いているとする。
それを見た知人が…
ああ彼はこの間、失恋したばかりだからな。
…と考える。

しかし、実際には
彼が辛そうな顔をしていた理由は
…下痢をしていただけだったりする。

真実とは、案外そんな風に、
つまらないものであることが少なくない。

…と。
確かにそんなものかもしれない。

しかし、
その知人が彼の顔を見て、
失恋したことを思いだし、
それについて思いやったことも
…また、真実だろう。

そんな友達思いの知人がいて、
実は失恋のことなど忘れ、
呑気に食い過ぎて腹を下した彼がいて、
その間に生じる勘違いが
ドラマの発端になったりもする。

創作なら、それも面白い。

ただ、
歴史を伝えるためのものであれば、
事情は少々変わってくる。

史実を曲げずに歴史を描く小説家、
吉村昭も…

さすがに主人公の気持ちは創作なんです。

…と言ってはいるが、

ちゃんと裏付けのある創作で、
主人公の気持ちになれるから書けるんです。

…と補足する。

気持ちが先立ってしまい、
その気持ちに持って行くために、
あり得ない行動記録を作ってしまうと、
もうそれは歴史とは言えなくなる。

性懲りもなく、また歴史物語を書いているが…

細かな年表を作成し、
関わりのある人物たちの年表を重ねていくと、
記録に残る行動だけでなく、
その行動の動機となる
気持ちが感じられてくるから不思議だ。

そうなってくるとようやく
歴史上に人物と友達になったような感じになれる。

友達は…
長所だけでなく、短所も理解できて
…はじめて友達。

相手が生きている場合はもちろん、
とうの昔に亡くなった歴史上の人物であっても、
自分の思い込みではなく、
まず相手のことを知ろう
…と努力しようとすることが何より大事だ。

だから、人生日々更新。

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