でじたけの「人生日々更新」捏造と失望の例

Episode No.6543(20190802)[探求]Search

捏造と失望の例
Examples of forgery and disappointment

初代駐日米国領事
タウンゼント・ハリスが締結した
日米通商修好条約に至る
幕府との交渉内容を書き写した古文書
…というものを手に入れた。

実はニセモノだとは、わかっていたけど…

いや、交渉内容を書き写した古い文書
…には違いない。

ただし、
古文書を綴って後付けされた表紙にあった…
「江戸時代後期の儒学者の直筆」
…という説明は、
真っ赤な嘘だと承知していた。

いわば…
ニセモノの見本
…として入手してみたわけ。

裏表紙には所蔵していた
東北の名家の住所と名前が記されている。

儒学者の出身地がどこだったかは、
ネットを検索すればすぐにわかった。

持ち主の住所とも一致した。

試しに持ち主の名前を検索してみると、
その地域で何人もの村長を輩出した
名家であろうことも知ることができた。

おそらくは名家に伝わる、
その地方の名士・儒学者直筆のお宝
…だったのだろう。

何故、説明書きが嘘だとわかったか
…といえば、実に簡単な話。

その儒学者はハリスの来日どころか、
ペリーが来航する前に、
すでに亡くなっているからだ。

死後4年も5年も経った後に
直筆で書けるはずはないからね。

はたして、儒学者の没年が、
その地域で知られるようになったのは、
いつの頃からかわからない。

ただ、真相が知れるや…
家宝は紙くず同然に処分されたことだろう。

開運なんでも鑑定団で出品者が
ガックリと肩を落とすこういった例は
…日本中、いや世界中に
数え切れないほどあると思う。

人は真実ではなく、
信じたいことを信ずるもの。

信じることは大切だが、
それだけでは
世間に認められるお宝にはならない。

人のよがりに信じるだけでは
…美しい初恋の思い出話と変わらない。

だから、人生日々更新。

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