歳をとること自体、
新しい仕事をはじめるようなものだ。

…と言ったのは、さすがのゲーテ。

ある程度の歳になったら、
特別な努力などせずに、
自然体で楽に生きられる、
あるいは生きよう…なんて思っているのは、
自分で立ち上げた事業を
何百人単位の組織に発展させ、
十分身体が動くうちに引退し、
後は悠々自適な生活を送ろうという…
アメリカ型成功者を気取るようなもの。

大富豪の資産に代わるような、
精神的な貯蓄ができているというのか？

そんな力もないくせに、
ありのままの自分でいたら
生きづらくなるのは当然だろう。

自分に力のないことに不安を覚えたら、
不安を忘れるほど勉強したり働いたりして、
少しでも自分の居場所を
確固たるものにしようというのが
…努力じゃないか。

努力とは抵抗することだよ。
時や人に流される生き方に何の努力があろう？

人類の発展は、善し悪しはあれど、
自然に抵抗することで今日まで来た。

雨が降ったら、傘を探し、
死に向かって生きている我々は
一日でも長く生きるために抵抗を試みる。

ただ耐えているだけで
努力を気取っていちゃいけない。

余計な力を入れず、
日々の試練をかわして自然体で生きる…なんて
よほどの達人的な技量がなけりゃ、
できるもんじゃないし
力のない本人が、そうしているつもりでいても
世間がそれを認めてはくれない。

１時間そこにジッとしていて、
１時間後の世界に行くことは誰にでもできる。

１時間そこで学習をして
１時間前とは違う自分を手に入れることが必要なんだ。

試験は年齢と共に高まる。
…という言葉で中学３年の時に出会ったゲーテ。

歳をとること自体、
新しい仕事をはじめるようなものだ。
…という言葉の意味も身に染みる歳になった。

だから…人生、日々更新。