Episode No.4119(20111104)[偉人]Great man

皮肉な人生
The ironical life.

俺のせいじゃないんだ。
こうなったのは、すべて、ね。

まず親が悪いんだよ、親が。
決して貧乏じゃなかった。
それどころか余裕のある暮らしたったのに、
相場なんかに手を出したから破産して…
おかげで俺は小学校中退。
9つの時には住み込みの丁稚だ。

親の愛情に飢えていた俺には、
代わりに慰めてくれる存在が必要だった。
ひとりぼっちの自分を慰めてくれたのは
…金だよ。

金は俺を裏切らなかった。
頑張れば頑張るほど、金は増えていった。

しかし今思えば…
金で失敗した親代わりが金だなんて
…皮肉なもんだよな。

俺の人生は皮肉との戦いだったかもしれない。
つねに皮肉が俺を襲った。
しかし…それは悪いことばかりでもなかった。

成人して間もなく、結核の疑いがかかった。
とうとう来たか、と思った。
俺の兄弟はみんな結核で死んでいる。
俺もとうとう死ぬんだな、と。

面白くなりはじめていた
電気工の仕事も辞めなければならなかった。

保険もない時代の話だ。
食うにも困るのは目に見えていた。

そこで…結婚した。

こんな状態で結婚だなんて、
とんでもないと思うだろう?俺もそう思うよ。

でも、病弱な俺は看護婦をしてくれる奴と
一緒に暮らす必要があったんだ。

それに女房がいれば、
いざとなれば女房を働かせればいい。
…どうだ? 名案だろう?

働きに出るのはしんどいから
自宅で何か店をやろうと思った。

最初は甘味屋でもやって、
のんびり過ごそうと思ってたけど…
電気工時代の知恵で、
たまたまいいアイデア商品ができたので、
それを売ることにした。

こいつがよく売れた。
電気工を辞めなければならなくなったとたん
電気で稼げるようになるなんて
…これも皮肉だろう?

人手も足りなくなったから、
人もどんどん雇った。

自分が丈夫だったら、
全部自分でやろうとしただろうけど、
そうもいかないから、
最初っから人に頼りっぱなしだ。

そのおかけで店は会社となり…
会社はどんどん大きくなっていった。

もし俺が丈夫な身体の持ち主で、
女房や社員といった他人に頼らずに済んだら、
この会社はなかったよ。

松下電器…パナソニックは、ね。

俺の名は松下幸之助
結局…94歳まで生きたけどな。

…と、
昨日の漫画の神様に続いて、
今日は経営の神様の話にしてみた。

参考「松下幸之助 私の自叙伝」iTunesストア/オーディオブック

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