Episode No.4036(20110801)[信条]Creed

理想と距離と人生の答え
Answer to ideal and distance and life
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そのイタリア人画家、セガンティーニは
幼くして両親を失い、食べるために必死で画を描いたという。

昨日も「日曜美術館」を見ながら、らくがき帳にペンを走らせた。

絵画や彫刻といった作品はもちろん…
登場する芸術家たちの個性的な顔を写したくなる。
あるいは、気になった言葉を書き留めるのが楽しみのひとつ。

さて…
親の愛を知らずに育った画家セガンティーニ。
ことに母親に対する思いは強く、
母性への憧れは理想化されたカタチでキャンバスに焼き付けられた。
父性の象徴とも言える山の登って、光をつかむように筆を走らせた。

知らないものを理想化する…というのは何とも不思議な話ではないか?
知らないものを、どうして理想と掲げることができるのだろう?

しかし、その感覚は凡人である我々も日常的に行っていることに気づいた。

憧れの俳優や歌手、タレントは遠い存在だから理想化できる。
近くにい過ぎたら、
マンネリ夫婦のようにきっとさまざまなアラばかり見えて来てしまうだろう。

番組にゲスト出演していた山岳写真家が、こんな話をしてた。

対象物との関係や、対象物の見え方は、
その物との距離によって変わる

例えば山なら…
遠くから眺めている時、頂上は尖って見えるが、
実際に登ってみると決して尖ってはいない。

…確かに、そうだ。

セガンティーニが理想を求める中で発見したことは、それだけではなかった。

山頂から振り返って自分が出発した場所を見ることで、
自分がいる世界を客観的に捉えることができた。

いかなる思いも、すべては自分の中にある。
自分がどこにいるのかわからないのは…
自分がその場所からジッと動かないでいるからではないのか?

求めているばかりで自らの足で探しに出ない者に
…天は答えを教えてくれない。
その代わり、ひと度探しに出さえすれば
…求めていた答え以上のものを授けてくれるだろう。

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