空を見てた。
											うろこ雲が頭上に広がっていた。
											ポケットからデジカメを取り出して
											シャッターを切った。
										
										デジカメの小さなモニターで
											映り具合を確認して、
											再び見上げると…
											雲は拡散して、
											空はさっきと違う表情を見せていた。
											
											もう、さっきの景色は、
											このデジカメと記憶の中にしかない。
											
											自然はつねに違う表情をしている。
											
											自ら動くことのない石でさえ、
											水気に微妙な色の変化を見せたり、
											目に見えぬスピードで苔に覆われていたり。
											
											時の流れの中にいるものは、
											みな平等に変化していく。
											
											もとより気まぐれな人に対して、
											いつもと違うと
											怒ったり、落胆したりしても仕方ない。
											
											みんな、そういうもんなんだよ…最初から。
											それ故、
											変わらぬものを求める気持ちもわかるけど、
											ないものねだりかもしれないな。
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