Episode No.1975(20041221)
景色

人工的な景色は
どんなにスゴイ建物であっても
見ているとやがて飽きるが、
自然の景色は
何度見ても飽きない。

やっぱり・・・
生ある自然は変化の連続だから、ね。

先日、或る小さな湖の湖畔に
ひとりで立つ機会があった。

休日だというのに
人気のない、その湖畔は
今が21世紀であることさえ忘れさせる。

周囲には細い散歩道があるだけで
車の陰も見えない。

湖面までせり出した木々は
紅葉のシーズンを終え
7割方、葉を落としている。
赤や黄色に染まった葉が
さざ波に押し戻されて
岸を縁取るように堆積する。

その葉の一枚一枚が
まるで点描で描かれた絵画のようだ。

湖面に揺れる
今落ちたばかりの葉は真っ黄色。
うちよせて堆積した葉は
水気を吸って茶色に見えて、
岸の上で乾いた葉は肌色をしている。

そのグラデーションが
湖のまわりに延々と続いているのだ。

デジカメでも持っていたら
写真を撮りたかったけど・・・
何も持たずに出かけてしまったし、
携帯電話にカメラは付いてないし。

せめて落ち葉を数枚、
子供たちへの手みやげにすることにした。

おそらく再びこの場所に立っても
まったく同じ景色を
見ることはできないだろう。

時代にとり残されたようなこの場所は、
時代なんかとは、まったく関係なく
変化を繰り返している。

それが・・・
大自然の強さなんだろう、ね。


参考資料:与謝野鉄幹・晶子夫妻が愛した湖