スパイスには食欲を増進させる働きがある。
スポーツによって
普段使わない筋肉を動かしたり、
芸術によって
普段使わない神経を働かせるのも、
スパイスと同じ刺激がある。
はたして何を増進させるのかといえば、
生活することに対する
意欲ではないかと思われる。
食事はもちろん、
生活は繰り返すことで成り立っている。
そして、繰り返しはマンネリ化する。
普段は24時間のうち1時間を
プールで過ごしている毎日だけど、
決して楽しみだけでは行けない。
むしろ億劫になるのが常。
最初の一往復をした瞬間、
1kmを泳ぎ切るには、あとこの20倍も
行ったり来たりしなければならないと思うと
実にゲッソリとしてしまう。
それでも自分に課したノルマを果たすために、
時にゆったりと、時に力強く、
少しばかり調子を変えて、
ともすれば飽きてしまう自分を刺激する。
刺激は強ければいいというものではない。
強すぎると続かない。
ダッシュしたままマラソンは完走できないし、
スパイスだらけの料理はとても食いきれない。
たとえ食い切れたとしても、
それは味覚を麻痺させているだけで、
味わうことからは、およそかけ離れているだろう。
加減を知らないと、
味わい完食という目的は果たせなくなってしまう。
我々は常に時間を食って生きている。
はたして人生を完食できるか?
すぐさま元の場所に戻ってこられるくらいの、
ほどよい刺激をコントロールすることが必要だな。
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