Episode No.3687(20100619)
経験とは痛いもの

名作とそうでないものの違いに気づいた。
…名作は「経験」になるんだ。

それも「残る経験」に。

十代の頃。
寺山修司の映画をよく観たな。

ストーリーなんて覚えてないし、
覚えるべきストーリーなんてなかっただろう。

ただ…痛烈に体験した。

スクリーンから呼びかける男の声

妹がよってたかって犯されている部屋の扉を
叩き続けた兄が、やがて崩れ去る姿。

あんまり楽しい景色は残ってない。
むしろ辛い感覚や痛い感覚、
目を背けたくなるような光景の方が…
作品を通しても、現実の上でも
経験としては残っている気がする。

残っているもの…というのは、
つまり消化できずにいるものなのかもな。

受け入れがたい現実もそうだし…。

そういうものは好んで名作で味わって…
現実ではすぐに忘れてしまえるようなことが
多い方が…幸せなのかも、な。


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