Episode No.3495(20091107)
富士山

富士の山がすっきりと見える季節になった。
むろん、天気のいい時に限るけれども。

通勤途中の
電線の隙間から見える富士にも、
しばし目を奪われてしまうけれど…

先日、久々に伊豆スカイラインを走って、
絶景ポイントで拝んだ富士は、また迫力があった。

まさに「拝む」という言葉がピッタリ。
何せ「頭を雲の上に出し」状態だったから、
この世のものとは思えぬ雄大さを感じた。

しかしデカいな…今さらながら。

ちっぽけで不安いっぱいの人間から見ると、
あのデンとした安定感は、やはり「拝む」に値するね。

天により近いというところも
霊験あらたかなイメージを感じさせるのだろう。

無意識であっても…
深いDNAのどこかに、
生と死や宇宙の法則を刻んでいるようだ。

不安を感じて眠れぬことはあっても、
眠った先で不安を感じることがないのは、
本当の答えが実は自分の中にあるからではないのか?

現実を見ることは勇気のいることだが、
中途半端な現実ばかりに目を奪われて
悪戯に不安をあおつているくらいなら…
もっと遠くのもっと大きなものを見た方がいい。

そういえば虎造の次郎長伝に、こんなひと節があった。

「見て見ろ、あの富士の山を」
「大きいですね。
 ところで親分、あの富士の山から
 こっちにいる俺っちが見えますかね?」
「そりゃあ見えねぇ」
「え?」
「見えねぇよ」
「そいつは不思議だ。
 こっちから向こうが見えて、
 向こうからこっちが見えねぇとは…これ如何に?」


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