当たって砕けろ、とよく言うが、
戦国時代じゃないんだから、
当たって砕けたヤツなど、まずいないだろう。
…身ひとつは必ず残る。
砕けるのを恐れてばかりいると、
かえって身の置き場を失ってしまう。
自分が砕けようが砕けまいが、
自分の足下にあるものは、
つねに砕けてなくなっていくものだから…。
自分の足下にあるもの…それは時間。
時間という枠に縛られているのは、
まるで溶けかかって崩れてゆく
氷の上にいるようなものだな。
機転を利かせて、
ポンポンと次の氷の上に飛び移らないと、
油断をしていると水に落ちてしまう。
いっそ自ら
水に飛び込んでしまうのも手かもしれないが
…それは自己破産の申請をするようなもの。
少しでも大きな氷を見つけてジャンプを試みる。
うまく乗っかることはできなくても、
必死でしがみつけば、
とりあえず水に浸からなくて済む。
大きな氷は山になってるから、
しがみついただけでは不十分で、
その後、登っていかなければならない。
できるだけ高いところまで登って行ければ、
少しは休んでも、水しぶきがかかることはない。
ただし…
その大きな氷の山だって、
いつまでも溶けないわけじゃない。
安定した地面を夢みたところで、
そんなものはない、と覚悟を決めないと、な。