Episode No.3487(20091029)
氷上の人生

当たって砕けろ、とよく言うが、
戦国時代じゃないんだから、
当たって砕けたヤツなど、まずいないだろう。
…身ひとつは必ず残る。

砕けるのを恐れてばかりいると、
かえって身の置き場を失ってしまう。

自分が砕けようが砕けまいが、
自分の足下にあるものは、
つねに砕けてなくなっていくものだから…。

自分の足下にあるもの…それは時間

時間という枠に縛られているのは、
まるで溶けかかって崩れてゆく
氷の上にいるようなものだな。

機転を利かせて、
ポンポンと次の氷の上に飛び移らないと、
油断をしていると水に落ちてしまう。

いっそ自ら
水に飛び込んでしまうのも手かもしれないが
…それは自己破産の申請をするようなもの。

少しでも大きな氷を見つけてジャンプを試みる。
うまく乗っかることはできなくても、
必死でしがみつけば、
とりあえず水に浸からなくて済む。

大きな氷は山になってるから、
しがみついただけでは不十分で、
その後、登っていかなければならない。

できるだけ高いところまで登って行ければ、
少しは休んでも、水しぶきがかかることはない。

ただし…
その大きな氷の山だって、
いつまでも溶けないわけじゃない。

安定した地面を夢みたところで、
そんなものはない、と覚悟を決めないと、な。


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