幼なじみにミュージシャンの
マネージャーをしている男がいる。
昔、彼が或るパンクバンドの担当をしている時、
ライブに呼ばれて楽屋を訪ねた。
あいにく彼の姿は見えなかったが、
すでに面識のあったバンドの面々がいたので、
彼が何処にいるのか尋ねた。
幼なじみだから・・・むろん、名字を呼び捨てにして。
すると、バンドの面々はスクッと立ち上がって、
すぐにマネージャーの彼を捜してくれた。
まぁ、すごくあたり前の光景なんだけど・・・
実は、バンドの面々のまわりには、
二十代前半の彼らより、
もっと若い取り巻きみたいな連中がいて、
マネージャーを呼び捨てにして、
さらにバンドの連中に探させる私を見て、
どうやら業界の大物と勘違いしていたようだ。
こちらも、まんざらな気分ではないけれど・・・
音楽業界のことなど何も知らないし、
当然、偉い立場にいるわけではない。
・・・次の瞬間。
これは怖いな、と思った。
まわりが勘違いしてくれるおかげで
・・・自分が偉くなったように勘違いしてしまう。
最も普通の会社でも・・・
年齢と肩書きだけで
自分は偉くなったと勘違いしてしまう人は
・・・たくさんいるけれど、ね。