Episode No.3155(20081007)
優越感という恐怖

幼なじみにミュージシャンの
マネージャーをしている男がいる。

昔、彼が或るパンクバンドの担当をしている時、
ライブに呼ばれて楽屋を訪ねた。

あいにく彼の姿は見えなかったが、
すでに面識のあったバンドの面々がいたので、
彼が何処にいるのか尋ねた。

幼なじみだから・・・むろん、名字を呼び捨てにして。

すると、バンドの面々はスクッと立ち上がって、
すぐにマネージャーの彼を捜してくれた。

まぁ、すごくあたり前の光景なんだけど・・・
実は、バンドの面々のまわりには、
二十代前半の彼らより、
もっと若い取り巻きみたいな連中がいて、
マネージャーを呼び捨てにして、
さらにバンドの連中に探させる私を見て、
どうやら業界の大物と勘違いしていたようだ。

こちらも、まんざらな気分ではないけれど・・・
音楽業界のことなど何も知らないし、
当然、偉い立場にいるわけではない。

・・・次の瞬間。
これは怖いな、と思った。

まわりが勘違いしてくれるおかげで
・・・自分が偉くなったように勘違いしてしまう。

最も普通の会社でも・・・
年齢と肩書きだけで
自分は偉くなったと勘違いしてしまう人は
・・・たくさんいるけれど、ね。