Episode No.2971(20080306)
軽口

離婚をした時はね。
ダンナに「小説家になりたいから」って言ったの。
本当は男ができたからなんだけど、
それじゃあ体裁が悪いから・・・。
でも、そう言ってしまったからには
なるしかないと思って小説家になったの。
嘘は言いたくないから、
自分の言葉には責任を持つようにしてるのね。

・・・テレビを見るのは、
決まってメシを食いながら。
昼飯を食いながらスイッチを入れると、
「源氏物語」の新訳本を書き上げた、
あの瀬戸内寂聴さんが、こんな話をしてた。
御年85歳。

出家してる人なんだけど、ね。
親しみやすい・・・
いい意味で俗っぽくて面白い話だったので、
・・・ついつい昼休みをオーバーしてしまった。

嘘から出た誠・・・なんて言い方があるけど、
まさにこんな感じなのかなぁ。

それで実際に小説家になって、
文化勲章まで受けたんだからスゴイ。

文化勲章の授章式でも、
つい「次は子供向けのものを書きます」
なんて考えもしていなかったことを言ってしまい、
その後、本当に絵本を何冊か出している。

つい、うっかり口が滑って
何かを言ってしまう
・・・と、いうことは誰にでもあるけど、
滑りっぱなしじゃ、終いに転ぶ。

どこで踏みとどまれるのかが、その人の力。
やっぱり大切なのは・・・自分との約束

軽口をたたいて一番重く感じるのは
・・・自分自身に違いない。