Episode No.2665(20070307)
与えられた自信

かつて、とある大手量販店の
花形営業マンだった人と話す機会があった。

彼は今、その量販店を辞め、
実家で新規事業を展開すべく活動している。

今年30歳になるという彼いわく・・・

大手量販店にいる時には
1日に2,000万も売り上げていたので、
物を売ることに自信があったんです。
そこで、実家での商売も
難なくこなせるだろうと思っていたんですが
・・・みごとに鼻をへし折られました。

黙っていても客がくる看板のある店で
来た客を相手にした仕事と・・・
何の看板もなく、
しかも、こちらから出向いていって
客に物を買わせる商売と・・・
そのギャップに気づいた時に
彼のこれまでの自信
いっぺんに吹き飛んでしまったようだ。

しかし・・・
本当はこれからつけていくのが
本物の自信であることは言うまでもない。

彼にこんな話しをした。

ある人気俳優が
自分の人気をバックボーンに
自分自身で芝居を打とうと考えた。

台本くらいは本屋で買うことができたが、
それを上演する許可を
どうやって得ればいいのかがわからない。

第一、劇場の予約の仕方すら
自分にはわからない。

演出家や照明、大道具や小道具、
チケット売りまで・・・
裏方で働いてくれる人がいなければ
客を集めるどころか
舞台に立つことさえできないんだ。

どんな仕事も独りでは成り立たない

漠然とした「一般」という相手ではなく、
まず目の前の人に
自分を買ってもらうことから始めないと。

でも、まだ30歳。
ちょうどいい時にそのことを知ったと思うよ。
私など・・・知るのが遅すぎたから、ね。