Episode No.1083(20020213):豊かさに溺れるな

「現代人は情報過多。
 やがて、みんなが原点に戻ろうとする
 新しい時代がくるはずだ」

・・・という、ある人の意見に
私は少しばかり眉をひそめた。

原点の時代って・・・いったい、いつ? 何時代?

そして、その原点の時代に生きている人たちは
みんな幸せだったのだろうか?

ネットを利用した犯罪が多発したり・・・
昔はなかったようなドぎつい表現の映像を見て
頭の構造が少しばかり狂ってしまった人も確かに少なくない。

だけど・・・
本を読む女性が蔑視されていた時代もあるし
映画は不良が観るものと、蔑まれていた時代もある。

ようするに・・・
何事も基本的には受け手の問題なんじゃないだろうか?

豊かな生活とは何か?
それは「選ぶ自由があること」だと、私は思う。

昼飯にラーメンを食うか、牛丼を食うか・・・
どちらかを選べる環境と経済力があるのは豊かだし、
第一、その両方の味を知っているという経験が豊かさの証だ。

選択肢が多くて悩むというのは、つまり贅沢な悩み。

手にする情報が少ないと言っては怒り、
多すぎると言っては悩んでばかりいる人に
永遠に幸福な新しい時代など来ない。

どんな時代でも、情報を選ぶ目は必要で・・・
それがたとえ多かろうが少なかろうが
確かな目を持ってさえいれば、迷うことなどないはずだ。

・・・そう信じたいし
本当は、どんな時代でも・・・
原点は、つねに自分の中にあるんだ。

時はただ流れていくだけで・・・
いくら求めても、そこには何もない。

あらかじめ幸福が用意された時代なんて・・・ないんだよ。


参考資料:病み上がりなのに、また飲んでしまいました