THE THEATER OF DIGITAKE
初めての不旅行28 5/8


■新郎新婦入場

型通り・・・挙式は、とどこおりなく済んだ。

三村と腕を組んで入場して来た羽織袴姿の父親は、一瞬場違いのような感じもしたが、あまりにも堂々たる態度だったので、そんな違和感もいっぺんにふき飛んでしまった。

神父姿の鈴木も、なかなか堂に入っていて「これが、あの鈴木か?!」と思わせるほど。

こんなにシッカリと仕事ができるヤツなら、もっと早く社内でそれを見せてくれればよかったのに・・・。
そう思った宮田は「あれ、それってこの間自分が人事部長に言われたことじゃないか」と思い返して、ちょっと恥ずかしくなった。

指輪の交換・・・そして、新郎が新婦のベールをスッと上げ、口づけを交する。

それを見つめる宮田の胸には、三村のぬくもりがよみがえってきたが・・・。
ズボンのうしろは、あいかわらずスースーしてる。

新郎新婦が退場すると、その場で親族紹介があった。
この時点では、まだ披露宴会場にいったいどれくらいの人が集まってくれているのかは、わからない。

宮田たちが挙式場を出た時には、集まってくれた人たちは、みんな披露宴会場の中に入っていた。
親類たちも同じく会場に入って行った。

廊下に残されたのは最後に入場する新郎新婦と宮田夫妻だけ。

披露宴会場から会津が顔を出した。

「ボチボチ、いきますよ。いいですか?」

「あ、会津さん。あの順番は? その入場の順なんですが」

宮田は、ちょっと自分が上がっているのがわかった。

「あ、順番ね。まず、宮田さんが一番前」

「わ、私が?」

「そうです。媒酌人でしょう?! そういうもんです。で、次が新郎さん。後ろに新婦さんと続いていただいて・・・最後に奥さま。奥さま、申し訳ないですが、新婦のドレスね。途中でどっかに引っかからないように注意して見てあげてくれますか?」

「はい、かしこまりました」

「よし! と」

会津は4人を並ばせると、また会場の中をのぞいて何やら指示を出している。

「それでは、みなさん。入場しますよ、いいですね?!」

「はい! お願いします」

柳が元気よく答えた。

「宮田さんも・・・いいですね?」

「も、もちろん! ・・・いきましょう」

「では・・・」

観音開きのトビラが左右に開いた。
会場の中は薄暗いうえに、正面からスポットライトが当たっているので、様子がよくわからない。

ただ・・・。


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