THE THEATER OF DIGITAKE
初めての不旅行26 3/12


■ふたりの昼休み

昼休み。宮田は三村と2人で、いつか鈴木にリストラを言い渡した、ちょっと高めのレストランに行った。
今日は三村と2人だから、迷わずこの店を選んだ。

ちょっと前なら、まわりの連中に"怪しい関係"だと思われるのを警戒して、2人きりで昼休みに出かけることなどなかったが・・・今となっては、もう。

「さぁ、何でも好きなモノ注文しなさい。私がおごるから」

「そんなぁ、この間も結局ご馳走になっちゃったばっかりなのに・・・」

「いいじゃないか別に。こういう機会だって、もうそんなにないかも知れない」

「・・・・じゃ、お言葉に甘えて」

結局、三村が注文したのは本日のランチだった。宮田もそれにした。

「で? 相談と言うのは」

「ええ・・・。柳クンとのことなんですけど・・・」

「うん」

「決まったのは結婚するってことだけで・・・。そのほかは、まだ何も」

「そうみたいだったね・・・この間の話でも」

「やっぱり、まずお仕事のことをハッキリさせないと・・・先に進めないと思うんです」

「そりゃそうだ!」

大きくのけぞった宮田は、ふと自分のことを思い起こし

「それが・・・一番むずかしいん・・・だけどな」

と背中をまるめてつぶやいた。


Next■