THE THEATER OF DIGITAKE
初めての不旅行23 2/8


■多忙な一週間

今週は、宮田にとって実に忙しい一週間となった。
しかし、それは・・・またしても三村とのライデブーに大失敗した宮田にとって、ある意味で救いだったかも知れない。

旧友の木下から久しぶりに電話があったのは、月曜日の朝のことだ。

「この間は飲みすぎちゃったな・・・。ちょっと相談があるんだが、たまには昼飯でもどうだ?」

指定された会社の近くの店の前まで行くと、道路際に10トンくらいの大型トラックが横付けされていた。

「おう宮! 取ったぜ〜、大型免許」

「そりゃあ、やったな。これで給料も倍増だろ?」

「倍増とまではいかないけどよ。まぁ、そこそこ上がったよ。でもな・・・」

「?」

「ボチボチ、今の会社、辞めようと思って・・・」

「えっ? ボチボチって言っても、まだそんなに経っちゃいないだろ?」

「まぁ、それはそうなんだが・・・ホラ、俺の場合、山のような借金があるだろ?」

「会社の負債だからな・・・個人の場合とはちょっと・・・」

「自分でやってりゃ会社も個人もねぇよ。・・・その借金返すのに、今のまま働いてたんじゃ一生かかっても無理かも知れない。大型取れば・・・とも思ってたんだけど、思ったほど給料上がんなかったし・・・」

「・・・・で? 辞めてどうすんだ?」

「実は会社やってた時のツテで・・・1,000万ほど融資してやるっていう話があってな」

「ほぉ、それじゃ少しは借金が返せるじゃないか」

「バカだな、お前。別のところから借金するだけで減らないじゃん。だから、この1,000万を元手に何かはじめて増やすんだよ」

バカと言われて宮田は一瞬ムッとしたが・・・。
木下のような発想が持てない自分は、やっぱり所詮サラリーマンなんだと痛感した。


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