THE THEATER OF DIGITAKE
初めての不旅行18 10/14


■麻薬検査完了

宮田がスッキリした顔をして悠々と廊下を戻ってくると、診療室から女医が顔をのぞかせて叫んだ。

「宮田さん! 早くしてくださいな。後が詰まってますから!!」

宮田に気づいた女学生は、拾った携帯電話を渡すために近づこうとしたが、宮田はまたあわてて診療室に入って行ってしまった。

「どうも・・・申し訳ない」

「はい。じゃあ、これ読めます?」

「6」

「はい。じゃあ色覚は正常ですね」

「はぁ」

「つぎは・・・両腕をめくって見せてください」

「はぁ」

上着をとった宮田はYシャツのボタンをはずして、両腕をめくって見せた。

「注射器の後は・・・ありませんね。じゃあ結構です」

「結構ですって・・・。これが麻薬の検査ですか?」

「そうです」

「本当に、これだけ?」

「これだけです。そういうことに、なってますから」

「そういうことにって・・・。もし、腕じゃなくて尻に注射してたらどうするんです?」

「してるんですか? お尻に? それだけ、おっしゃるなら見ましょうか?」

「・・・結構です」

女医は机の上の用紙にペタンとハンコを付くと宮田に返した。
釈然としない思いを胸に、その用紙を内ポケットにしまいながら診療室を出た宮田はハッとなった。
・・・携帯電話!!

その時、さっきの女学生がそっと携帯を差し出した。

「はい、宮田さん」

「えっ?」


Next■