THE THEATER OF DIGITAKE
初めての不旅行18 9/14


■我慢の限界

女医は机の本棚からスケッチブックのような大きな本を取りだした。
開くと赤や緑のボツボツの中に数字が書かれている。

「これ、読めますか?」

「ちょっ、ちょっ、ちょっと待ってください」

「読めませんか?」

「そうじゃなくて・・・先に尿検査の方を・・・お願いしたいんですが・・・」

「尿検査? この診断に尿検査はありませんよ」

「えっ? ないんですか?」

「ええ、ありません」

「すいません! じゃあ先にトイレへ行かせてもらいます」

キョトンとした女医を残し、宮田はあわてて診療室を出ていった。

診療室の出口を右に行くところを左に行ってしまい、Uターン。
と、その拍子にポケットに入れたはずの携帯電話が大きめのアクセサリー部分だけしかひっかかってなかったせいで床にスベリ落ちた。

「あ!」

しかし、宮田にとって今かがみ込むことは非常に危険だ。
あたふたしていると、さっきから宮田を見ていた女学生が携帯電話を拾い上げてくれた。

「あ! キミ!! 私はすぐに戻るから、すまんがその携帯を持っていてくれ! 頼む!!」

宮田は、そう言ってトイレの看板へ向かって内又で走り去った。


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