THE THEATER OF DIGITAKE 初めての不倫旅行18 7/14 |
■初めての保健所 自分の席に戻った宮田は、すぐさま104番で地元の保健所を調べた。 保健所に問い合わせると、簡単な健康診断なら今日は午後3時から5時まで一般の受付があるという。 早速、その旨を人事部長に報告して宮田は早引きすることになった。 昼休みをはさんで、今日は3時間も会社にいなかったことになる。 二日酔いを無理矢理薬で抑え込んだ宮田にとっては幸いと言えば幸いな話だが・・・。やっぱり、つらい。 三村は忙しそうに伝票の整理をしている。 あと何ヶ月もしないうちに、この課自体が整理されてしまうのも知らずに・・・。 今日のところは何も声をかけずに出よう。 ホワイトボードに「外出〜直帰」の文字だけ残して、宮田はそっと会社を出た。 こんなに明るい時間に下り電車に乗るのは初めてだ。 客は小さな子供連れの母親と学生が数人。 そういえば良樹の受験日はもう近いはずだが・・・はたして、いつだったか? 確か、もうそろそろのはずだ。 思えば、ここへ越してきてから保健所に来るのも初めてのことだった。 通常の健康診断は会社指定の病院で受けていたし・・・。 合同庁舎の一角にある保健所は入口こそ役所っぽかったが、中へ入ると普通の病院と何ら変わりはなかった。 長い廊下の左右に検査室があって、廊下の壁にそって長椅子が置かれている。 ただひとつ、病院と違う印象を受けるのは、そこで待つ人たちがとくに病気でもなさそうなことだ。 自主的な健康診断のために訪れている年寄りや小規模事業店・・・おそらく大工だと思える格好をした人たちが集団検診に来ている。 中には学生の姿もある。 受付には『入学願書に指定の健康診断書を添付しなければならない方へ』という貼り紙があった。 とすると、この学生たちはみんな受験生なのか・・・? 受付を済ませ、長椅子に腰を下ろした宮田は、おもむろに上着の内ポケットから携帯電話を取り出した。 最近ちっとも鳴っていない携帯電話には、良樹がくれた木製のアクセサリーが付いている。 手にした携帯電話をジッと見つめる中年男を・・・さらに遠目に見つめる、ひとりの女学生がいた。 |