THE THEATER OF DIGITAKE
初めての不旅行18 3/14


■計画倒れ

せめてもの光明は、会社へかけた電話に三村しよりが出てくれたことだった。

「おはよう三村クン・・・宮田だがね」

「あ! おはようございます。・・・どうかされましたか?」

「ああ、実はね・・・」

「課長、すいませんちょっと先にいいですか?」

「あ? 何かね?」

「つい、さっき人事部長から内線が入って・・・」

「人事部長から?」

「ええ。宮田課長に今日の午後1時、A会議室に来るよう伝えてほしいって・・・」

「・・・そうかぁ」

「すいません。急ぎのようだったんで先にお話ししちゃって・・・。で、課長。どうかされましたか?」

「い、いや。行くのがちょっと遅れるんで・・・それで・・・。1時なら問題ない。できるだけ早めに着けるようにするよ」

「わかりました。何かあったら聞いておきます」

「ああ、頼むよ」

人事部長と聞いて緊張したせいか、頭痛は少し忘れることができた。
しかし、まだかなりつらい・・・が、こうなったら会社を休むわけにはいかない。

もう1度だけトイレに行って胃をスッキリさせてから、熱めのシャワーを浴びて出かけることにしよう。

小さな庭に妻が洗濯物を干している後ろ姿が見える。
まぁ・・・仕方ない。今夜はできるだけ早めに帰ることにして・・・。
今日は1日かけて夕べの釈明を考えることにしよう。

そう思ったとたん、また頭が痛くなってきた。


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