THE THEATER OF DIGITAKE
初めての不旅行18 2/14


■最悪の朝

木下と飲んだ翌日。宮田はひどい二日酔いに悩まされていた。

明け方には何度もトイレに駆け込むはめになって、まともに眠れもしなかった。
夫に初めて手を上げられた妻は、その様子を黙って見ているだけで、ひと言もかけようとはしない。
最もいかに心配そうに声をかけられたところで、どうしようもないのだが・・・。

朝。いつもなら出かける時間になっても宮田が起きて来ないので、さすがに妻も寝室をのぞき込んだ。

「あなた。いいんですか?」

ベッドから頭を持ち上げようとするが、ひどく痛む。
夕べのこともあって妻の顔をまっすぐ見るのにもためらいがあったので、そのまま布団に隠れて返事をした。

「・・・ひどく頭が痛むんだ。今日は・・・休もうかと思う」

妻は一言。

「でしょうね」

と冷たく言い放って寝室を出ていった。

しかしマズイことをした・・・勢いでとは言うものの・・・
自分にとって一番の味方である者を敵にまわしてしまった感じだ。

仕事がうまくいかない時は、たいてい家庭でもうまくいかない。
どっちかが良くて、どっちかが悪いなんてことは今までの経験上、まずない。
こうなるともう良くない状態が重なり合う悪循環・・・まさにドロ沼にはまっていくようなものだ・・・。

とにかく今日は会社を休んで、妻との関係修復から始めよう。

そう思った宮田は、できる限り頭を左右に振らないように気をつけながら、そーっと立ち上がった。
とりあえず会社に電話をしなければならない。

口の中が気持ち悪い。まずは朝のうがい。

冷たい水を口に含むと、少しだけ気持ちが良かったが、顔を上に向けて口の中の水が喉のあたりをくすぐると、またイッキに吐き気がしてきた。
「ウッ」となって、うっかり頭を振ると激痛が走る。

今朝は特別に5回をうがいを2回だけにしておいた。


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