THE THEATER OF DIGITAKE
初めての不旅行15 10/11


■セクハラ問題勃発!!

独身5人男の酒盛りの後だけあって、応接室の椅子や机に乱れっぱなしになっている。
つまみの残骸が近くのゴミ箱に入っているのを見て、宮田にはここで何があったのか、おおよそ察しがついた。

「仕方ない連中だなぁ・・・」

「誰がです?」

「おそらく柳たちだろう」

「・・・柳クン・・・ですか」

三村はややうつむいて、両手を暖めるように湯飲みを握りしめた。

「・・・でも、何で柳クンが?」

「ああ、彼ともう何人かが2000年問題の泊まり込み組だったからな。・・・だいたい、彼からトラブルが出たっていう連絡があったもんだから、あわてて今日来たのに・・・」

「・・・・」

「仕事はマジメにやる男なんだがな・・・。どーも1本ヌケてるというか、若いというか・・・」

ブツブツ言いながらお茶をすする宮田を見ながら、ようやく三村が口を開いた。

「実は課長・・・私、暮れに柳クンと会ったんです」

ブッ! ちょっとムセた宮田が聞き返す。

「暮れにって・・・暮れにはキミは田舎に帰ってたはずじゃあ」

「その直前に」

「どこで?」

「それが・・・」

新宿の風俗街で柳とバッタリ出逢ったこと・・・。そんな彼に思わず平手打ちをしてしまったこと・・・。そして、柳が自分を抱きしめたことを・・・少しづつではあったがも三村はまるで生徒指導室で先生にでも話しをするような口調で洗いざらい宮田に聞かせた。

お茶を飲むことも忘れて聞き入った宮田は最後に質問した。

「・・・それで? キス・・・されたのか?」

三村は静かにうなづいた。
それを見た宮田は、まるで娘を奪われた父親のような形相で言った。

「それは、セクハラだ。セクハラ問題だよ、三村クン! 社として厳重な処分をしないと!!」

予想外の宮田の反応に、ややあわてた三村は正面を見据えた。

「でも課長! 社内でのことじゃないですし」

宮田の興奮はおさまらない。

「いや、仮に社外でのことではあったとしてもだ。そう! 労災と同じだよ、労災と。通勤中のことであれば適用されるだろ?! 労災だって。酒でも飲んで寄り道してない限りは!!」

「お酒飲んで、寄り道してたんです・・・私」

「アチャー!!」

思わず頭を抱え込んだ宮田が大声でそう叫ぶと、応接室の隅でゴソッと何かが動く音がした。


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