THE THEATER OF DIGITAKE 初めての不倫旅行14 5/12 |
■OL3人組からの脱退 結婚という言葉を聞いた三村に一瞬、青森での見合いの記憶がよみがえった。 「おめでとう! で、式はいつ?」 「それが・・・まだ、返事してないの。で、今日ね・・・返事をすることになってる」 「でも、ここまで来たっていうことは・・・OKなんでしょ?! ところで彼氏とはどこで?」 「学生時代からくっついたり離れたり・・・。やっぱり縁があるのかなぁ」 「それは、そうかも知れないわね。いくら相手がよくても・・・縁がないと、ね」 そう言って、三村もカクテルを飲み干した。 「やっぱり結婚しようかなぁ・・・。今の仕事にも飽きてきたし・・・。それがぁ、この間の忘年会の日だったかなぁ・・・阿木さんたちにも相談しようとしたの」 阿木さんたち・・・とはOL3人組のほかの2人のことだ。 「そしたらさぁ、結婚の話って聞いたとたん口つぐんじゃってぇ・・・。なんか私にも冷たくなったみたい。だって金曜に2人が有給とるなんて、知らなかったのよぅ、アタシ。いつもの3人の中じゃ一番年下のアタシが、そんな話はじめたのが・・・やっぱ気に入らなかったのかなぁ」 阿木たちに対するコメントを三村は努めてしなかった。ここまで話してくれる山本を信用していないわけではなかったが、せっかく社外にいる時くらい彼女たちのことはあまり考えたくもない。 「三村さん、おかわりどう? それとも・・・何か別のにする?」 「そうね・・・じゃあ同じので」 「うん。ねぇボーイさぁん!」 山本の彼氏が近づいてきた。すでに手にはおかわりのドライマティーニを2つ持っている。 「あと1時間で終わりだから・・・もう、ちょい待ってて。しかし、いいのかい? クリスマス・イヴの夜に、こんな美しい女性を拘束しちゃって」 三村は悪い気はしなかったが、やっぱりちょっと寂しかった。 彼の言葉を聞いたとたん、山本が口をとがらせて言った。 「私とどっちがキレイ?」 たじろぐ彼氏。カウンターの反対側で客が手を上げているのを幸いに、急いでその場を逃げて行った。 ちょっとニヤついた山本を横目に、三村は2杯目のドライマティーニに口をつけた。 |