THE THEATER OF DIGITAKE
初めての不旅行13 5/10


■職場の少年少女たち

「おはよーございまーす!!」

大声をはり上げて入ってきたのは・・・柳だ。
宮田と三村の会話は、またしても脳天気な体育会系男に中断された。

三村が宮田の席の近くに立っているのを見た柳は、鞄を抱えたまま2人の方に近づいてきた。

「おはようございます! 課長。・・・三村クンも。いや〜この間は飲み過ぎちゃって、失礼しました」

頭をかきながら白い歯を見せて笑う柳は、まるでガキ大将。
そんな柳を見ながら宮田は、本当に子供のように無邪気で・・・子供のように迷惑な男だと思った。

「あれ〜? 課長。なんスか、それ?」

柳がのぞき込んだのは木下から預かった大きな紙袋だ。

「こりゃ〜クリスマス・プレゼントじゃないっスか。・・・どっかに彼女でも隠してるんじゃあ・・・」

三村の肩がピクッと揺れた。
三村にしてみれば、宮田は今夜自分と過ごすつもり・・・のはずだ。ひょっとして私ののために・・・? このキュンとした感じは三村にとっても少女時代以来のことだ。

「い、いや、これは・・・友人に頼まれて・・・」

始業の時間になった。社内にチャイムは鳴らないが、かわりに電話のベルが鳴り響いて、少年少女たちは強引に現実世界への戻された。


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