2002/1/6

でじたけ流 映画論


『ゴジラ モスラ キングギドラ
 〜大怪獣総攻撃』

 
金子修介監督

『猿の惑星』
 
ティム・バートン監督


はい、でじたけです。

今日は、このお正月休みに観た2本の映画のお話をしましょうね。
今回は、ちょっと長いですよ。覚悟して読んでくださいね。

そう、せっかく映画のお話ですから、懐かしの淀川さんの声で読んでみてください。
でも、架空対談じゃないんですよ。書かれている内容は、淀川さんの言葉じゃなくて、ぜんぶ私の言葉。だから細かい部分、間違ってたらごめんなさいね。

私、このお正月は久しぶりにジックリと2本の映画を観ました。
金子修介監督の『ゴジラ モスラ キングギドラ〜大怪獣総攻撃』とティム・バートン監督の『猿の惑星』
2本とも怖い、怖い・・・けれども楽しいサイエンス・フィクション映画です。


■リメイクの背景

この2本の映画・・・創られた背景が、よく似てますね。
『ゴジラ』は50年前、『猿の惑星』は30年前にオリジナルが公開されて、ともに一世を風靡した名作。そのリメイク版なんですね。
リメイク・・・作り直しですね。同じ原作を別の監督が別の役者を使って撮るんですね。何でまた、わざわざそんなことをする必要があるんでしょう?

音楽の世界でもリメイクが大流行。日本でも去年は『明日があるさ』が大ヒットしましたね。
映画の世界でも同じですね。歴史は繰り返される言いますが、景気の悪い時はね、なかなか新しいモノに挑戦できない。昔流行ったモノなら、確実にお客さんがついてるからコケる心配が少ない。それで作られる場合が多いんですね。

映画は何十億円ものお金を使って作られるビッグ・プロジェクト。映画会社にしてみれば、それだけのお金をつかって、その何倍もの収益を上げようとしているから、簡単に失敗できない。まるで宝クジですね。そこで、儲かってない時には、できる限り安全な企画を選ぶことになりますね。

もちろん、直接それに関わるスタッフにしてみれば、オリジナルを超えるモノに挑戦しなければならないから大変な仕事。けれども、それ故にやりがいもありますね。成功すれば、確実に自分の仕事が映画史に残りますね。
映画は賭け。映画会社にとっても、監督にとっても大きな賭け。大のオトナが命がけになって遊んでいる。だから、観ていて楽しいのね。

そういうわけで『ゴジラ』も『猿の惑星』も巨額の費用と最新のテクノロジーを使って21世紀に蘇ることになりました。
でも、本当は『ゴジラ』や『猿の惑星』だからリメイクできたわけじゃないのね。
映画会社にしてみれば、『ゴジラ』や『猿の惑星』だってリメイクして確実にヒットする自信はなかったでしょ。
それをやる気にさせたのは・・・やっぱり『スターウォーズ』の新作の世界的なヒットがあったからですね。

『スターウォーズ』シリーズが公開されたのは、約25年前。早いね、もう四半世紀も昔の話。
その後、『スターウォーズ』を創ったジョージ・ルーカスは、たくさんたくさんお金を儲けて、ハリウッドからは離れた場所にお城のような会社を建てて、さまざまな『スターウォーズ』グッズ・・・ビデオや人形、小説やゲームを売ったり、SFX専門の会社を作ったりして、また、どんどんどんどん稼ぎ続け、とうとう大富豪になりました。まさに、アメリカン・ドリームですね。

でも、やっていることはディズニーの手法と変わらないのね。ルーカスはもちろん、あのスティーブン・スビルバーグもディズニーには頭が上がらない。今日のエンタテイメント・ビジネスのひな型を、ディズニーは作ってしまったのね。

ルーカスは、そこで稼いだお金をつかって『スターウォーズ』の新しいシリーズを作り始めました。
1本あたりの予算は135億円。高いなぁ。日本映画なら世界配給が決まっている黒澤映画でも、せいぜい20〜30億円。けれども、それはルーカスが自分の会社を使って作るから135億円と言っても、いわば原価値段なのね。ハリウッド映画史上、最高の予算をつかったと言われる、あの『タイタニック』は230億円もかけて作られたけれども、もし誰かがルーカスと同じことを、ルーカスの会社に発注してやったら、300億円出しても間に合わないかも知れんな。
今年も、またルーカスのポケットマネーで作られた『スターウォーズ』の新作が公開されます。楽しみですねぇ。

このポケットマネーっていうところが大事なのね。もし、映画会社や資本家に頭を下げないと作れないものだったら『スターウォーズ』の新しいシリーズは、スポンサーの意向がたくさん入って、もっとつまらないモノになってたかも知れないし、ひょっとしたら途中で企画が流れていたかも知れない。
やっぱり、自分が本当にやりたいことは、自分のお金でやるしかないのね。

その『スターウォーズ』シリーズ復活の成功が裏付けとしてあったから、お金をかけてキチッとしたものを作れば『ゴジラ』や『猿の惑星』もきっとヒットすると、映画会社の重役たちは重い腰を上げたんじゃないのかな。スポンサーを説得する材料もルーカスがそろえてくれたのね。
結局、どんなに大きな会社や組織も、たった1人の成功者にはかなわない。むしろ、意志の統一が難しい会社や組織だからこそ、強い個人の前では本当は弱いのかも知れませんね。


■ガメラ・スビリッツを持ったゴジラ

話を『ゴジラ』と『猿の惑星』に戻しましょうね。

観た順番からお話しましょう。まず『ゴジラ モスラ キングギドラ〜大怪獣総攻撃』。これは大晦日の日に劇場で観ました。空いてたなぁ。みんな大掃除でもしてたんでしょう。

今度の『ゴジラ』を創った金子修介監督は、ご存じの通り平成『ガメラ』シリーズを創った人。『ガメラ』の監督がライバル『ゴジラ』の監督をやるなんて、何て面白い時代。映画会社が監督を育てていた時代なら考えられないことですね。
だから、ゴジラがどことなくガメラになってる。監督だけじゃなく『ガメラ』のスタッフも大勢参加してるからな。実は今回、ゴジラの中に入っているのは『ガメラ2〜レギオン襲来』で、レギオンという怪獣に入っていた人なんですね。

でも、ゴジラがガメラになっても、それは決して悪いことじゃありませんね。それだけ平成ガメラは迫力満点だったし、きっと東宝のお偉いさんたちも、あの迫力を新しいゴジラにほしかったんじゃないのかな。
ゴジラが放射能を吐く時に、平成ガメラが炎を吐く時と同じように、ちょっと口の中にエネルギーみたいなものを貯めるでしょ。あれが、いいのね。いかにも、とんでもないモノが吐き出されてくる感じで。
それに比べると50年前のゴジラは、口から殺虫剤まいてるみたいだったものなぁ。

昔のゴジラ・シリーズでは、最強最悪の宇宙怪獣だったキングギドラが、ゴジラの脅威から日本を守る伝説の怪獣として扱われていました。昔のシリーズを知っている者にとっては少し違和感があったけど・・・そう言われてみるとキングギドラは、まったくオマタノオロチみたいで、伝説の怪獣と言われれば、そんな感じもしくるから不思議。
ただ、こういう設定がまた平成『ガメラ』のイメージに近いのね。1本1本は、よくまとまったいい映画だけど、平成『ガメラ』と『ゴジラ モスラ キングギドラ〜大怪獣総攻撃』は、いっぺんに続けて観ない方がいいかも知れないな。観終わった後に、どっちがどっちだったかわからなくなっちゃうから。

今回の『ゴジラ』で一番関心したのは、ゴジラの死に方。
平成『ゴジラ』シリーズの最終作『ゴジラvsデストロイア』でゴジラが溶けて死ぬシーンは、50年前の『ゴジラ』を作った当時には技術上の問題で出来なかったことを最新のテクノロジーで見事にやり遂げてます。
でも、それ以外のゴジラ・シリーズだと、それまで何をやっても死ななかったゴジラが、最後はいともアッサリやられてしまったり、理由もなくどこかへ去ってしまったり・・・もう終わりの時間ですよ、という感じがしなくもないのね。
ところが今回の『ゴジラ』では、なるほどこれならやられるかも知れない・・・と納得。現実的に考えたら、ゴジラに突入してった宇崎竜童はまず生きて帰れないだろうけど、ゴジラのやられ方は、よかったなぁ。

宇崎竜童と言えば、ダウンタウン・ブキウギ・バンドですね。今の若い方はよく知らないかもわからんけど。「アンタあの娘の何なのさ」いう歌のセリフが流行りましたねぇ。
確か映画デビュー作はATGの『曽根崎心中』。この時、初めてサングラスをはずしたとこを見せてくれたのね。
それから高橋伴明監督の『TATOO(刺青)あり』では、銀行強盗の役を好演してました。何だか、自分の命というより、死をかけて突っ込んでいく役が多い人ですね。

あと出演者では天本英世が元気な姿、見せてくれました。
あの人、ショッカーの死に神博士を演ってた30年前から、ずっと老人・・・本当に本当に不思議な人ですね。


■猿のメイクに技術の進歩を見た

『猿の惑星』を撮ったティム・バートン監督は、モジャモジャ頭に無精ヒゲ・・・ちょっと神経質そうな細身で、若く見えるけど去年50歳になったのね。好きな仕事してる人は老けないなぁ。筋金入りのオタクという感じ・・・著名な映画監督でなかったら、ちょっと近づきがたい人かもわからんなぁ。

『シザーハンズ』とか『マーズアタック』といった個性的な、一種独特の暗い雰囲気を持った映画をたくさん撮ってますねぇ。
けれども、マニア受けした作品が多い中でティム・バートンの名を一躍メジャーにした作品と言えば何と言っても『バットマン』。あの暗い雰囲気と、こうもり男というダークヒーローがみごとにマッチ。敵役、ジャック・ニコルソンのジョーカー・・・怖かったなぁ。あんな笑顔の怖いキャラクター、見たことないですね。

なぜ、こんなオタクっぽい人がエンタテイメントでも力を発揮できるかと言えば・・・ティム・バートン監督という人は、あのディズニー・プロダクションのアニメーターだったのね。また、ディズニーの話、出てきましたね。
映画界に入った時から、もう徹底的にエンタテイメントを仕込まれてる。だから、ただ個性だけを見せようとしている芸術家じゃなくて、エンタテイメント・ビジネスをちゃんと知ってるのね。ハリウッドで成功してる人だから、それはもう当然の話かもわからんけど。

そういうわけで『バットマン』を成功させたティム・バートン監督が『猿の惑星』を撮ることになりました。
スタッフが、またスゴイね。SFXは当然、ルーカス率いるILM。そのほかにも『スターウォーズ』で名をはせたスタッフ陣が、みごとな仕事を見せてます。今のアメリカ映画界で、ディズニーとルーカスの話は、避けて通れませんね。

物語は30年前のオリジナルとは違いますね。まるで黒澤映画のような猿と人間の合戦シーンなんかがあったりするけれど、一番違うのは猿のメイク。
オリジナルでは、ゴリラは凶暴でチンパンジーは知的。オラウータンは、みんな年寄りだったけど、今回はチンパンジーの中にも凶暴なのがいたり、年寄りがいたりするのがリアル。
そうそう、30年前のオリジナルで猿に追われてたチャールトン・ヘストンが、老チンパンジー役で出てくるのは面白いね。よく観ないとわからないけどね。

メイクの基本な方法は30年前と同じ・・・と言われてますけど、表情が30年前とは比べものにならないくらい違う。唇の先まで実によく動く。口元にも役者の表情がそのまま出てくる、これが不思議。
昔よりはるかに柔らかい素材を付けているんだけれど、秘密は接着剤にあるのね。ラバーと肌をくっつける接着剤。これが昔に比べて、ものすごく強力なわけ。だから、役者の顔のシワがそのままメイクで付けたラバーにも繁栄されるという仕組み。
そのかわり、昔と違って簡単に剥がせないから、役者はずいぶん苦労したみたい。付けるのに4時間、剥がすのにも1時間以上かかるから、撮影中は明け方から夜遅くまで猿のまんまで、自分の素顔をほとんど見ることができなかったんじゃないのかな。

人間の味方をする、細いキレ長の目をしたゴリラが出てくるんだけれど、この人、実は日系人。メイクしてると何人だかわからんけど、立ち振る舞いがまったく武士なのね。やっぱり黒澤映画の影響があるのかな。

この映画は残念ながら、劇場ではなくDVDを買って観ましたが・・・DVDが2枚組みなのね。前編・後編かと思ったら、1枚は映画で、もう1枚は全部メイキングが入っていてファンにはたまりません。

膨大な手間や予算がかかっていることは、わざわざメイキングを観なくても充分にわかるけれど、一番驚いたのはパウエル湖という場所での撮影エピソードですね。
この場所は、30年前のオリジナイル版でも冒頭、宇宙船が不時着するシーンが撮られた場所なんだけれども、やっぱりアメリカは広いなぁ。こんな地球離れした場所が30年も手つかずで残ってるんだからね。

この場所での撮影は寒い時期に行われました。役者さんや馬が湖を泳いで渡るシーンなのに大変ですね。
それと、もうひとつ・・・ロケハンでこの場所に行った時より、いざ撮影に行ったら、湖の水位が下がっていたらしいのね。
そこで、どうしたか言うと・・・湖に水を引き込んで、おまけに大型ボイラーを運び込んで、水を温めて、役者さんや馬が飛び込んでも大丈夫なようにしたのね。この、まるで小学生が考えるようなことを実際にやってしまうのが、ハリウッドのすごいところですね。普通のオトナなら、とても考えつきませんね。

ちなみに、人間役のヒロインにグラマーなお嬢さんが出てきますけれども、この人、ついこの間までシンクロの選手だったらしい。やっぱり役者は体力ですね。


■映画監督の仕事

監督の仕事というのは、仕事の進め方を決めて、撮影現場で演技を指導。もちろん脚本や編集や音楽にも注文をつけるし、ひと度プロジェクトが進行しはじめたら寝る間もないくらい忙しい。役者同様、体が丈夫でないと、とても勤まりませんね。

でも、大きな映画になると監督の仕事は、最初の仕事の仕方・・・スタッフを決めるところで半分、いやそれ以上は終わってしまうんじゃないかと思うのね。
あとは信頼のおける、その道のプロフェッショナルたちが、自分の意向にそった支度を全部やってくれる。
監督の仕事は、各スタッフが準備したものに対して、いいのか悪いのかを決定する人。船が大きければ大きいほど、船長さんはオールやスクリューから離れた場所にいるもんでしょ。
何百人もいる大勢のスタッフを力を出しやすいような環境を整えたら、あとはメいっぱいやってもらう。最終的な価値判断だけは自分の責任においてやる。それが監督の仕事なのね。

そういうわけで、どうしても気心の知れたスタッフは中心に置いておきたい。
『ゴジラ』でも『猿の惑星』でも音楽監督は、いつものコンビなのね。

『ゴジラ モスラ キングギドラ〜大怪獣総攻撃』の音楽を担当した大谷幸は、平成『ガメラ』も担当しているし、『猿の惑星』では『バットマン』でもティム・バートンと組んだダニー・エルフマンが音楽を作っている。だから、どっちもよく似た雰囲気なのね。
一時、ハリウッドでは大作映画と言えば『スターウォーズ』のテーマで有名なジョン・ウイリアムスが手がけていて、何だかみんな一緒に思えちゃったこともあるけどな。

映画や、演劇もそうだと思うけど・・・音楽は大切だなぁ。
作品全体の雰囲気をトータルに印象づけるのは音楽ですね。音楽がいいかげんだと、せっかく内容が良くても、ちょっとチャチに見えてしまうこともあるし・・・。逆に音楽さえ良ければ、内容がたいしたことなくても、何となくいい雰囲気になってヒットしてしまう作品もあるくらい。
そういう意味では、優秀な音楽の作り手と組めるかどうかも監督の運と力量。脚本家との出逢いも大切には違いありませんが、脚本なら自分でも直せるでしょ。けれども音楽となると、簡単に五線譜は書けませんね。

もちろん、映画は観るもの。いい絵づくりも重要には違いない。けれども、絵や文字でモノを覚えるというのは普通の人にとっては意外と大変なことなんですね。
絵がヘタな人や暗記が苦手な人は大勢いるけど、音楽のメロディなら誰でも、わりとすんなり頭に入ってしまうでしょ。
目は意識しないと、モノをシッカリ見ることはできないけれど・・・耳にはとくに何の努力をしなくても音が入ってくるからね。

有名な監督は、ほとんどと言っていいくらい、お抱えの音楽の作り手を持ってますね。
北野武監督は、ここのところずっと久石譲と組んでますね。
宮崎駿監督も基本的には久石譲と組んでるけど・・・テーマ曲だけは、それまで映画界では注目されてなかった人の中に白羽の矢を立てるのがうまい。最も作ればヒットするように思われるほどの宮崎作品でなければ、白羽の矢を立てられたところで嬉しくも何ともないとは思うけどね。

ティム・バートン監督が、いかに変人だとしても・・・ただの変人なら、これだけ大勢の人たちはついて来てくれませんね。仕事のやり方もあると思うけど、まず何より食える仕事を作ってくれる人に、人はついて行くんでしょうね。サークル活動とは違いますからね。


■今、この作品が誕生した意味

そんなわけで、今回は長々いろいろと書いてきましたけど、そろそろ終わりにしましょうね。キリがないからね。

最後にお話したいのは・・・最初に書いたことと、少し矛盾するかも知れないけど、何故、今『ゴジラ』で『猿の惑星』なのか? と、いうこと。

もちろん映画会社も商売だから儲からないと困る、という点では最初に書いた通り。でも、それだけじゃあ観てもらえる作品は創れないのね。今創る意味がないとね。

みなさんもお感じの通り・・・『ゴジラ』は核や戦争の脅威。『猿の惑星』は人種差別の問題。そういう人間にとって奥深い問題をベースにしながら、難しく議論するのではなく、エンタテイメントとして観やすく演出した作品。
難しいことを難しく話したんじゃ説明にならない。難しいことをできるだけ簡単に感じてもらう・・・それが文化の役割じゃないのかな。
今生きている人たちにとって大切なこと、考えてほしいことがたくさん詰まっているから、今創る意味があるのね。自分が創りたいから創る、というのではただの趣味。それじゃあ、商売にも文化にもならない。

21世紀になっても戦争の脅威や人種差別はなくなっていない・・・そんな現実をあらためて考えるきっかけを『ゴジラ』や『猿の惑星』は確実に持ってますね。
「ゴジラがいなくてよかった・・・」あるいは「ここが猿の惑星じゃなくてホッとした」と思う人は多いと思うけど、ひょっとしたらこの世の中はゴジラを育てたりしていて、気がついたら自分は猿の惑星の宇宙飛行士と同じ境遇に立たされてしまうかも知れないのね。

怖いねぇ。怖いのは映画じゃなくて現実ですねぇ。
でも、怖がってばかりいたり、気持ちのいい映画ばかり観てばかりもいられない。これが、また現実。
さぁ、どうしましょう? どうせならハッピーエンドの人生過ごしたいものね。

そんなわけで、表現をする人には何かしら問題意識が必要ですね。
これでいいのか? いけないとしたら何がいけないのか? 自分は何を楽しいと思うのか? それがないと、その人が創った意味が、まずなくなりますね。
その人にとっての意味や意義と、社会に必要な意味や意義が、うまくクロスすると・・・成功できますね。

結局、作り手にとって常に問われているのは・・・人生観や人間性。
技術を売るのはエンジニアの仕事。でも新しい技術は、やっぱり人間性が発想の原点ですね。

娯楽にテーマを求めるのはヤボ。それもわかります。
お客さんは、まず楽しみたいからお金出すんだものね。本当に苦労を金で買う人はまずいないでしょ。そうなっちゃった人は大勢いるだろうけどね。

でも、楽しみたい時観た映画やお芝居、読んだ小説や漫画のことを・・・いつか、自分が悩んだり、苦しんだりした時にフト思い出すことは誰にもあるでしょ。

子供の時、テーマも何も考えずに観ていた『鉄腕アトム』や『仮面ライダー』、『ウルトラマン』のことを思い出しただけで、何だか勇気が湧いてきたり・・・
自分が本当に失恋して落ち込んだ時には『男はつらいよ』を観てボロボロ泣いてしまったりね。

それで、また今日を生きる元気になればいいんですね。
人生、晴れの日ばかりじゃないけど・・・いい作品に出逢っておくと、いつか傘になってくれますね。
あるいは自分が、自分自身が誰かの傘になれるかも知れない。
実際・・・サンタクロースの物語は、世界中のお父さんをサンタクロースにしてしまったものね。

さて、もう時間になりました。
また、機会があったら、映画のお話、しましょうね。
それには、まず観ないとダメですね。

それでは、みなさん、サヨナラ、サヨナラ・・・サヨウナラ。


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