この間、書いた
小学校低学年の頃の
担任の先生について、
あれから、いろいろ思い出している。
考えてみると、
その後、長い…
それも人一倍長い学生生活を送ったのに、
授業内容までハッキリ覚えているのは、
最初に習った、その先生の授業だけだ。
その後も結構、思い出に残る
いい先生に恵まれたと思うが、
友達みたいな付き合いをさせてもらった
…ということは覚えていても、
申し訳のないことに、
肝心の授業の内容は、まず覚えていない。
先日はその担任の先生が
スルメをデッサンさせた
…という話をしたが、こんな授業もあった。
「おもちゃのマーチ」という童謡を
朗読する…という授業だ。
♪やっとこやっとこ くりだした
♪おもちゃのマーチが ラッタッタ
♪にんぎょうのへいたい せいぞろい
♪おうまもわんわも ラッタッタ
今でもこの歌詞には苦い思い出がある。
この歌詞を歌うのではなく、
ただ読めばいいのだから、
実に簡単なことなのだが…
小学生になったばかりの自分には、
それができなかった。
字が読めなかったわけではない。
何度も歌わされてもいたから、
とっくに覚えていた。
その、覚えていた…というのが、
大きな落とし穴だった。
つまり、
読んでるつもりが、
つい歌ってしまうのだ。
ちゃんと朗読ができないと、
椅子に座らせてもらうことができず、
普段なら、わりと何でも
器用にこなす方であった自分は、
いつまでも立たされていて、
ものすごい屈辱を味わった。
何ができなかったのか…
ポイントは、この部分
♪にんぎょうのへいたい せいぞろい
漢字で書くと…
人形の兵隊 勢ぞろい
…だが、
歌う癖がついていると人形ではなく
人魚の兵隊 勢ぞろい
…になってしまうのだ。
そこに自分で気づくまで、
ずいぶん長く立たされたのを覚えている。
前回のスルメを描く授業も、
イカを描くのではなく、
スルメを描くことが求められていた。
目の前にあるものをよく見ずに、
自分の思い込みやイメージ、
あるいは人から聞かされた話だけで、
理解したつもりになってはいけない
…ということを
この先生は、よくよく教えてくれたと思う。
そして、
そこに大きな影響を受けた自分は、
50年後、「唐人お吉」に出会った
…というわけだ。
やっぱり…人生、日々更新。