でじたけ流 教育論「僕の好きな先生」
 
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20181209

でじたけ流 教育論957回 僕の好きな先生

でじたけ流教育論 digitake.com


先週はタコの話をしたので、
今週はイカの話を…。

小学1、2年の担任の先生は、
いつもアコーディオンを弾きながら
歌ってくれていた音楽の先生だった。

今思えば、
独自の教育観を持っていた方だった。

その先生が図工の時間に、
クラスを4人のグループに分けて
向かい合わせに机を並べさせると、
各グループの机の真ん中に1枚ずつスルメを置いた。

それをスケッチしろ、というわけだ。

たいていのクラスメイトは、
最初にパッとスルメを見ただけで、
自分が知っているイカのイメージを描いていた。

三角の頭があって、
そこから10本くらい直線の足が出ている
…そんな感じのイカだ。

それは確かにイカに見えるが、
イカという記号であってスケッチではない。

スルメをよく見ると、
三角の頭はもう縮こまってしまっていて、
そこから長いシワクチャの胴体が出ていて、
その先に丸まった足が、
あらゆる方向に向かって伸びている。

自分は、それを忠実に見て描いた。

今でも探せばどこかのアルバムに、
教室に貼り出された
スルメの絵を撮った写真があると思う。

音楽の先生は写真も好きで、
クラスの写真をよく撮ってくれていた。

その写真を見ると…
記号化されたイカの絵の中に1枚だけ、
写実的にスケッチされたスルメの絵がある。

自分の絵だ。

それはもう、
上手だと得意になるという感じより、
小学生になりたての子供が描いた絵としては
不気味というより他にない。

絵の上手い下手の第一歩は、
描く手が決めるのではなく、
見る目が決めているのだと思う。

イメージにある美しいものより、
現実にある醜いものを
そのまま描く方が絵は上手く見えるものだ。

下手より上手い方が
いいように思うかもしれないが…
気づかないより、
気づいてしまった方が苦しいこともある。

もちろん、
気づいて苦しんで、
そこを克服できたとすれば、
人生はもっと豊かになることだろう。

それにしても、いい先生に恵まれた
…と50を半ばを過ぎた今でも思う。

小学校入学以来、
人一倍長い学生生活を送ったが、
小学校1、2年の
担任の先生の授業内容だけは、
このスルメのスケッチをはじめ、
いくつも覚えている。

やっぱり…人生、日々更新。

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