先週の父の日は、娘の呼びかけで
十数年ぶりに家族そろって、
ディズニーランドへ行くことになった。
大学生の娘は
バイト料を注ぎ込んで
ディズニーランドの年間パスポートを持っている。
今回は家族の分も娘が用意した。
振り返れば…
伊豆に繰り返し出かけるようになる前までは、
家族でよくディズニーランドへ行っていた。
ディズニーランドに憧れて育った世代であることは、
もちろんで、
ウォルト・ディズニーと
ディズニーという、かつてのベンチャー企業について、
ずいぶん調べてもいたので。
ディズニーに関して集めた
伝記、デザイン関連、マニュアル、集客についての
蔵書約40冊はすべて娘にやって、
空いた本棚は「唐人お吉」に関する書籍で埋まっている。
伊豆のゆったりした心地よさを知ってしまうと、
人混みがすっかり苦手になってしまうが、
やはり一流のエンターテイメント空間は刺激に満ちていて、
一日がアッという間に過ぎてしまった。
まだ、長男しか生まれていなかった頃、
おむつを替えたオモテのベンチのあった辺りには、
今や巨大ホテルが建っていた。
娘がぜひ観るべきと言ったショーは、
確かに1時間近く並んででも観る価値はあった。
だが、さらに気になったのは
隣に座っていたサンダル履きの小柄な男性。
年の頃なら70くらい…しかも独りきり。
おもむろにバッグから座布団を取り出して、
ショーの開始を待つ。かなりの強者だ。
その強面の見た目と違い、
ショーがはじまると、
うなづきながらリズムをとっている。
そして、誰よりも早い拍手のタイミング。
この人は、きっと…初代ミッ○ーマウスに違いない。
おそらく…
親は能か狂言をやっていたが、
自分はその世界には馴染めず、
タップダンスに興じて、浅草あたりで活躍。
しかし、
浅草のエンターテイメントはかなり下火だし、
何よりタッパが足りないので、
本格的な舞台からも声はかからない。
この先、食って行くには
お笑いの世界にでも行くしかない
…と思っていたところに飛び込んだ
東京ディズニーランド開園の知らせ。
35年前、初めてここで主演を務めた男は、
こうして毎日後輩たちの仕事を観て、
時々ダメ出しをしているに違いない。
…と、
そんな妄想ばかりふくらませながら帰路に着いた。
夢の国から戻った現実の世界は
…夢をつくる時間。
やっぱり…人生、日々更新。