20170402

第869回「娘の二十歳の誕生日」

おまえんとこの娘が
二十歳になったら…
俺が洒落たバーに連れて行く。

バーボンか何か
大人っぽい酒を頼んで…。
バーテンが封の空いた
ボトルを傾けようとしたら、
「ちょっと待て。
　大事な娘さんの二十歳の祝いなんだ。
　新しいボトルを空けろよ」
…って新しいボトルの封を切らせるんだ。

そう言って、
うちの娘の誕生を喜んでくれたのは、
今は亡き盟友だ。

おかげさまで、二十歳になったよ。

娘の誕生日は３月の末。
お腹の中にいる時には、
男か女かも医者には聞かなかったけど、
女なら３月に産んでもいいけど、
男だったら４月２日以降に産め
…とカミさんに言って
ひんしゅくを買ったもんだ。

兄弟に挟まれて、
男っぽい性格、
男っぽい態度に育ったけど、
最近はネットのメイク動画を見ながら、
顔にハケを走らせたりもしている。

中学、高校の頃は部活に夢中で、
今はバイトに夢中。

課外活動に夢中になるところは
自他共に認める父親譲り。

二十歳の誕生日は、
友達に祝ってもらって帰りが遅かったが、
翌日、娘が絵本を買ってきて、
家族みんなに読み聞かせをした。

盟友にも聞かせてやりたかった。
いや、きっと聞いているだろう。

近く、墓参りに行こう
…と娘が言った。

やっぱり…人生、日々更新。

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