20170129

第860回「娘のご帰還」

成人式は済ませたものの、
まだ厳密には二十歳になっていない娘。

気分だけは大人になったつもりか、
帰りが遅くなることも、しばしば。

最大の要因は
バイトで小金を持っているからだろう。

遅くなったら駅からタクシーで帰る。
…とか生意気な口を叩く。

車で迎えに行くのは確かに面倒だが、
問題はそこではない。

終電後のタクシーに長蛇の列ができていることは、
こっちは嫌と言うほど経験済。

そうなると…
歩いた方が早い。
…なんて妙な合理主義に憑かれて
夜道をトボトボ行くのは目に見えてる。

タクシーなら、
とっくに着いてもいい時間になっても
帰って来ない…となれば、こっちは落ち着かない。

余計な心配をかけたくなければ、
早く帰るか…
遅くなるにしても、
ちゃんと電車を決めて早めに連絡しないと。
昔と違って
スマホを叩けば、正確な到着時刻がわかる。
便利な時代は言い訳のしづらい時代。

駅に自転車を駐めてる長男が遅くなる分には、
さしたる心配はない。

何故なら…男だから。

女だからと、とやかく言われるのが
面倒なことは百も承知。

でも、女だからしょうがない。

こっちだって、
年頃の娘を持った親として
しょうがないから覚悟を決めてやってるわけだし。

自分に与えられた肉体や役割を
恨んでみたところで、ないものねだりというもの。

与えられたものをどう活かすかが幸せへの早道。

最も…
成人式まで伸ばしていた髪をバッサリ切って、
ヘアドネーションした娘は今、
少年みたいになってるけど、ね。

やっぱり…人生、日々更新。

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