20150510

第770回「不機嫌クリエイター」

今年、大学生になった長女は、
家にいる時には、何せ機嫌が悪い。

何もこの春からということではなく、
これまでもずっと…。

もちろん、
家族で笑い合うことがないわけではないが…、
朝は眠くて機嫌が悪く、
夜は疲れていて機嫌が悪い。

ウチにはほかに息子が２人いるが、
娘を見ていると…まるで自分を見ているようだ。

ある晩、風呂から上がった娘が、
大きなため息をつきながら
リビングのテーブルに向かった。

見ればテーブルの上には水彩絵の具が散乱している。

娘は筆をとり、大きく肩をまわすと、
真っ白なカバンに絵の具を重ねていく。

根を詰めた作業が続く。
時折、そのままバッタリ床に倒れて唸っている。

そしてまた筆をとって息を殺す。

親友の誕生日プレゼントを入れるための鞄に
大好きなディズニーキャラクターを描きまくっている。

実に面倒な作業である。
しかし、ひと度やりはじめると絶対にやめない。

五人家族の中で
好きこのんで絵を描くのは自分と娘だけ。
娘は父親に似る…ということを、また再認識した晩。

何のためにそこまでやるのか…？
そんな質問は余計だ。

思いついたから、やる。
やりたいから、やる。

根を詰めまくって、疲れ切って、
ようやく完成した時の
一瞬の満足感のために、やる。

それまで、誰にも話しかけられなくはない。

やっぱり…人生、日々更新。

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