20130915

第684回

ひと月近い海辺のペンションの
夢のような住み込みバイトから戻った長男は、
そのバイト料を元手に
中古のサーフボードを買っただけでなく、
大学の友人の友達んチを渡り歩きながら…
大阪、京都、神戸へと、
まるで寅さんのような旅をしているようだ。

…ったく、羨ましいっ。

若い頃から、
人生が旅であることを知るのは
実にいいことだと思う。

いろんな街があって、
さまざまな人たちがいる。

それを知らずに過ごしていると
…行き詰まるのも早くなる。

こっちがダメなら、あっち…という具合に、
安易に頑張り方を変えてしまうのも
時としては問題だけれど…
究極的に言えば、
柔軟性のない生き方ほど、
命を危険にさらす生き方もない。

もっと言えば、
人生は
居場所探しの旅である。

やがては自分の居場所をつくり、
そこで家庭を作り、子供を育てるのが、
理想的な暮らしではあるけれど…。

ずっと、そこにいるのと…、
いろんな場所で経験を積んで
戻ってくるのとでは…。

リングに上がった経験もないくせに
負けたことがないつもりでいるのと…、
百戦錬磨でチャンピオンになるのと
…同じくらい雲泥の差だ。

もし、今…
ほしいもの、必要なものが
見つからないとしたら、
同じ場所にジッとしてちゃダメだ。

そういう人生のコンセプトをもとに
…親父は、伊豆の南端まで呑みに行く。

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