20010916
でじたけ流 教育論第66回 ュースをれ!

アメリカで大変な事件が起きた。

もちろん、世界貿易センターやペンタゴンへの
ハイジャック機突入というテロによる大惨事のことだ。

9月11日の夜からテレビはそのニュースでもちきり・・・
繰り返し流される、衝突の瞬間や巨大ビル崩壊の衝撃映像。

それを見た誰しもが
「えっ、これ映画の一場面じゃないの?」
と我が目を疑ったに違いない。

たまたま私のお得意さんがニューヨークに出張中だったこともあり・・・
明け方までコトのなりゆきを見続けていた。

次々と明らかになる現場の惨状は・・・戦場と言っても過言ではない。
これが本当に今のアメリカなのか・・・?

明け方ようやく眠りについたものの・・・
ウツウツしていると、もう小学2年の長男の目覚まし時計が鳴り響いた。

剣道の朝稽古は、まだ続いている。

夏休みボケで、あやうく寝坊しそうになる日もないことはないが・・・
目覚ましを止めて枕に顔を沈める長男の耳元で
「剣道の朝稽古記録も、ここまでか」
と、つぶやくと・・・スイッチを入れたように飛び起きる。

さて、私の方は・・・少しは寝ようと思ったが
今度は頭の上から「いちっ! にっ! さんっ!」という大声が聞こえてきて眠れない。

仕方なく、もう一度起き出して・・・また、テレビをつけてしまった。

どのチャンネルをまわしても、映し出されるのはニューヨークとペンタゴンばかり。
稽古から戻った長男が、ただならぬニュースの様子に首をかしげる。

そこで、夕べどんな大事件が起きたのか、その事実を説明してやった。

その夜・・・
あまりに眠かったため、早めに仕事を切り上げたおかげで子供たちと一緒に晩飯が食えた。

テレビは、あいかわらずテロ事件の様子を流し続けている。

私は長男に尋ねた。
「学校でこの事件について、どんな話をした?」

すると長男は少し考えて・・・
「友達とは少し話したけど・・・先生は何も話さなかった」と言う。

私は思わず箸を止めた。
世界中でこれほど騒ぎになっていることを、まさか先生が知らぬはずはあるまい。

今、何か起きていて世の中が大騒ぎになっているのか、
それくらいのことを今を生きてる子供たちに説明する必要があるんじゃないか?!

別に政治的な背景がどうとか・・・真偽がどうだという難しい話でなくてもいい。
犠牲者のために教室で黙祷しろとまでは言わないが・・・
いや、それくらいしたっておかしくないほどの出来事だと思う。

大勢の同じ人間が、今、こんなに困っている事実について教えなくていいのか?
考えさせなくていいのだろうか?

学校という狭い世界の中で安心していていいのか?
それすら安心できない時代に・・・!

こういう世の中だからこそ、
こういう時にキチンと話を聞かせておかないと・・・
繰り返し流されるビルに旅客機が激突する現実の場面を見ても
子供たちはゲームをしているのと同じくらいの感覚で
「かっこいい」くらいにしか思えなくなってしまうのではないだろうか?

そこで・・・我が家では、みっちりと話してやった。

長男と一緒に、その話を真剣に聞いていた幼稚園年中組の長女が言った。
「犯人を蹴っとばしちゃえば?」

「蹴っ飛ばしたって、飛行機ごと突っ込んだら・・・どうする?
 そこにお父さんやお母さんや友達がいたら・・・どうなる?」

「・・・やだ」

長女は精一杯、そう答えたが・・・言葉は続かない。

「やだ」・・・その気持ちさえ忘れなければ、
嫌ならどうすればいいのか、ということを考えられるようになるだろう。

「かっこいい」・・・なんて思ったら、やがて自分もやりたくなるんだ。

でじたけ流 教育論

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