第64回 父親は男の見本 |
事務所にオフクロから電話がかかってきた。
私のオフクロ・・・つまり子供たちのおばあちゃんだ。 間もなく2歳になる次男のセキが止まらず、最寄りの病院に電話で相談したところ・・・ 大事をとって救急車で病院に向かったという。 これだけ聞くと、そうとうビックリする話だが・・・ 「念のため」という冷静な口調も耳にしたし、 何より3人目の父親は、この程度であわてたりはしない。 夜だったので、上の2人の子供たちを見るためにおばあちゃんが自宅に来てくれていた。 私が考えたのは・・・ 救急車で行った以上、迎えの車が必要だということ。 で、仕事を切り上げて自宅に戻った。 子供たちの寝支度をしているところへカミさんから電話が入る。 迎えに行った頃には、案の定、次男はニコニコ笑っていた。 思えば次男のヤツが生まれて初めて乗ったのも救急車だった。 小学2年の長男は、ちょうど次男くらいの時に、ガラスで手を切って縫った。 長女は生まれる直前に出血して、やはり救急車の厄介になっている。 小さな子供にケガや病気はつきもの。 どんなに注意していても・・・100%避けるということは不可能だ。 それだけに予防と同時に必要なのが対処。 「絶対」ということがない以上、的確な対処ができなければ問題が大きくなってしまう。 今回「念のため」病院へ行くために救急車を呼んだのも・・・その一環だと思う。 次男のセキには、喘息の疑いがあるとのことで後日、精密検査をすることになった。 長男も同じようにことを言われたことがあったが・・・ 毎朝、剣道の稽古をしているお陰もあってか最近はピンピンしている。 体のどこかが弱いのは血筋のせいも大きいと思う。 だから、そういうモノともうまく付き合って、対処しながら生きていくしかない。 ところが・・・ 子供に何かあると、母親は責任を感じてか、ついつい伏せ目がちになることも少なくない。 ダンナがそれを責めたり・・・ おじいちゃん、おばあちゃんに責められたりすることもあるんだろうな。 「母親の管理が悪い」とか「最近の子供は弱い」とか。 しかし、母親の管理についていえば夫婦同罪。 むしろ、家長たるダンナがしっかりしていないのが要因と言っていい。 「最近の子供は弱い」なんて言われたって・・・ もし原因があるとすれば、最近の子供を産んだ我々の食生活に問題があったからでしょ。 高度成長期に生まれ育った我々は・・・ モノのない時代から豊富な時代に入って、モノが豊かさの証明と信じる親たちに食べ物を与えられてきた。 今の時代・・・ モノはあるのが当たり前で、その中身を吟味するようになっているけど 後々になって禁止されたチクロとか赤色2号なんか・・・私もだいぶ食べている。 シナリオの勉強をしていて思うのは・・・ 完全な悪者を作ってドラマをまとめようとするのは非常に簡単だ、ということ。 ところが実際の暮らしでは・・・ それぞれの立場でみんなそれなりに一生懸命やっているだけで 「こいつが悪い」なんてひと口で言える対象なんて・・・ないんだよね。 ところが話をまとめようと思うと・・・つい、そういう方向性に行ってしまう。 本当にそのシワ寄せがいっているのは・・・母親じゃなくて、子供だ。 そういう思考習慣を目の当たりにして育つ子供は・・・また同じことをするよ。 今は子供の数が少ない。 と、いうことは孫の数も少ないわけで・・・ おじいちゃん、おばあちゃんも孫にベッタリというケースは多い。 日中、外で稼がなければならない父親にとって・・・ 家庭や子供のことはカミさんに任せるのは仕方ないけど 任せたから責任がないわけではない。 逆に任せた責任がある。 家庭内の交通整理・・・ 家庭とおじいちゃん、おばあちゃんたちとの交通整理も仕事のうちだよ。 そこから逃げている男は・・・ 結局、仕事から逃げてるために家庭を口実にし 家庭から逃げるために酒やギャンブルに走る・・・気がする。 どこまで逃げたつもりでも・・・ 自分の人生からは逃げられないのにね。 そこに自分の理想とする世界を構築できなきゃ・・・ 男としてつまらないじゃないか?! |
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