20100103
でじたけ流 教育論第492回

大人への道-digitake.com


キレる…という言葉が使われ始めたのは、
いったい、いつの頃からだろうか?

頭が切れる、という言い方はあったが、
わけがわからなくなって暴力をふるう
…という使われ方ではなかったはずだ。

堪忍袋の緒が切れた…ということだろうが、
堪忍袋もないのにキレちゃうから始末に悪い。

食い物のせいもあるかもしれないね。
結局、肉体は化学反応で動いてるから。

元祖キレる奴はといえば、
鉄腕アトム」だと私は思っている。

向かってくる敵のロボットを懸命に諭すが…
敵のロボットは、もともと
アトムほど優秀ではないから、
とても理解できないし、
自ら考えを変えるようにも作られてはいない。

そしてアトムは最終的に…
「この、わからずやめ!」と言って
敵のロボットを一撃の下に破壊し
…その残骸を抱いて泪するのだ。

アトムとにっても
敵のロボットの行動は
決して理解できなかったのだろう。

理解できないものに対する最終手段が
…キレる=暴力に訴える、ということであり、
所詮、人間に作られたものだから
不安定な要因があったことは否めない。

子供たちがキレる最大の理由も、
この不安定さにあるように思う。

身体は大人に近づいていても、
心は充分に成長していない。
まして生きるという経験にも乏しいから、
心と体がアンバランスで、
或る時、何かをきっかけに
理解するという回路がショートして、キレる。

キレる子供にしない最大の対応策は、
親が先にキレることだ…などと
偉そうに親キレを正当化してみた自分ではあるが、
実は今、親の方が子供たちより、
よほど不安定なところにいるのではないだろうか?

100年に一度の不況…
これまで通りに仕事や生活が運ばない不安定さは、
親をキレやすくする充分な要因になっている
…そんな風に思う。

これまでの自分の理解を越えた
生活の不安定さと、
そこに生じたアンバランスな精神状態が、
キレることを助長している。

年末の特番で
多重人格の犯罪者の話を見た。

彼の中には24人の人格があって、
本人が知らない間に、
それぞれの人格が姿を現し
…中には犯罪を犯す者がいる。

まるで恐山のイタコのような話だが、
結局、裁判では精神病として無罪となった。

本人の意識がないから無罪でいいのか?
…ここには疑問を感じるけど、ね。

だって交通事故を起こす人の大半は、
わざとやったわけでなくても
交通刑務所に送られてしまうんだから。

この男が多重人格になった最大の理由は
…両親からの虐待。
ことに義父からの体罰はひどいものだったという。

そうした現実から逃げ出したい一心で
現実から逃避するために、
彼は新しい人格を持つようになった
…というのが精神鑑定医の診断。

おそらく霊媒師に言わせたら、
それ故、憑依を受け入れるようになって
…ってことだろう。

自分はUFOにさらわれた
…と主張する人の多くも、
過去に両親からの虐待を受けていた例が多いらしい。

受け入れられない…
もしくは、
受け入れる準備ができていない現実に対して、
自分を防衛する本能的な働きが人間にはある。

キレるという行為も同じで、
それはプチ多重人格であり、
UPOに連れ去られる寸前なんじゃないか。

多重人格の精神治療は、
自分で他の人格を制御できるようにすることらしい。

健康に暮らしてる人だって…
時に家族を忘れ、仕事人間を演じていたり、
仕事では失敗ばかりして
上司に怒鳴られているのに、
家では上司に言われた内容と同じようなことで
子供を怒鳴りつけているに違いない。

そんな自分を冷静かつ客観的に見て、
バランスをとるのが大人としての生き方
…だろうね。

子供はもちろん、
大人と言われる年になった親も、
めざすは「大人への道」。

大人というものは、
なりたいとか、なりたくないとか、じゃなく
年をとっていく以上、
ならなければいけないものなんだ。

大人になったら、つまらない…なんてのは、
小説や映画、絵や音楽にふれる時、
素人の作品の方が刺激的で
商業主義で作られたものは面白くない
…なんて言ってるエセ評論家のようなもので、
実際には、たとえ商業にのった作品でも
一流の人たちが作ったものは、
やっぱり面白いし、すばらしい作品がいっぱい。

結局…キレるのは、悩むのと一緒で
勉強不足なだけかもしれないな。

勉強、勉強と子供にばかり言ってないで、
親も勉強しなくちゃ。

子供が勉強しないのは、
親がしてないから…でしょ。
しなくても何とかなる…なんて思わせたら負けだ。


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