20021103
でじたけ流 教育論

第121回
ッカリしがれ


先週、小3の長男の剣道初試合があった。

その前に級取りがあって
長男は初めて見知らぬ相手と手合わせをして
6級をとったが・・・
級取りの試合に勝ち負けは関係なかった。
今度は試合だから・・・そうはいかない。

会場は、うちの最寄り駅の隣の駅から近い
公共のスポーツセンター。

中学時代、軟式テニス部にいたことはあるが
それ以外、試合をするようなスポーツとは縁がなかった私は
区内にこんなリッパなスポーツ施設があるとは知らなかった。

納税者として・・・もったいないことしてたな。
まぁ、子供たちが使えばいいけど。

リッパはリッパだけど・・・
ちょっと古い施設なので駐車場が狭い。
仕方なく正面に路上駐車。

それでなくても金がないのに
駐車禁止の罰金の払うハメにはなりたくないから
躊躇したけど・・・
関係者に言わせると、
剣道大会のある日は駐車禁止はとらない、らしい。
なぜなら・・・
剣道の先生って・・・たいてい警官か警察OBだから。
世の中、だいたいこんなモンだ。

会場には小学生から社会人まで
約400名ほどの選手が集まっている。
天井の高い体育館に響きわたる竹刀の音。
そして・・・とにかく防具の汗臭さが鼻をつく。

大会の進行に慣れない長男は・・・
まず、どこに並んでいいのかわからず
緊張のあまりベソをかく。

試合前からこれじゃあ先が思いやられる
・・・と思っていたら案の定、
一回戦、ストレート負け。

面をはずした長男に
「どうだった?」と尋ねると
「負けたけど楽しかった」と精一杯強がった。
そこで、ひと言。
「試合なんだから、勝たなきゃ意味ねぇよ」

そして、長男は・・・
そのまま、つかつかと母親や妹弟の待つ場所に移動して
母親の顔を仰ぎ見るなり・・・大泣きした。

泣け、泣け・・・と私は心の中で叫ぶ。

例によって、かなり意地悪なオヤジだが
負けたのを良しとすることは絶対に許さない。
結果として負けたことが良かったと言えるのは
次に勝ってから、だ。

目標に到達するまで
途中の意味の語るべきではないし
語ったところで何の説得力もない。

何かうまくいかなかったことがあった時、
それでも無駄じゃなかったと自分を慰めるのは
ずるい大人のやることだ。

ダメなものはダメ。
無意味なものは無意味と認めてこそ、次がある。

そこであきらめるというのなら
そもそも縁がなかったと考えるべきで
中途半端な慰めや同情は弱さを正当化しかねない。
少なくとも・・・男には、ね。

家長になれば・・・
たとえ仕事がうまくいかなくたって
毎月、必ず生活費を持って帰らなきゃならないんだから。

得意先や会社のせいにしたって
家族の腹はふくれないよ。

昔、武田鉄矢が演ってた
『刑事物語』のキャッチフレーズを思い出すなぁ。

「男は強くならないと
 大切なものは、どんどん遠くへ行ってしまうんだぞ」

長男の試合が終わると
久々の早起きに疲れた私は
早々に長女と次男を連れて車に戻ることにした。

「車に戻る」と言ったら長男が
「俺も行く」と、こっちを見たので
「おまえはダメだ」と突き放した。

「おまえは試合を最後まで見て
 どういう戦い方をしている奴が勝つのか
 しっかり目に焼き付けてから来い」

歩道に横付けした車に戻ると
やっぱり・・・
駐車禁止のチョークすら引かれていなかった。


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