1935年5月14日、アメリカ。
							オハイオ州シンシナシティに集まった観客たちは、夕暮れの中"その時"を待っていた。
							
							大勢の観衆たちが見守る中、ひとりの男が装置の前に立った。
							第32代大統領、フランクリン・ルーズベルトは声援に応えると、人差し指をスイッチにかける。
							
							その直後、あたりは真昼の明るさを取り戻した。
							
							この日、クロスリー球場で、大リーグ初のナイターが行われた。
							
							この頃、アメリカのプロ野球界は大恐慌により観客の激減で存続が危ぶまれるほどの大打撃を受けていた。
							その打開策として考案されたのが、ナイトゲームである。
							アメリカのプロ野球界にとって、ナイトゲームの設備は、まさに逆転ホームランであった。
							
							買い物をする時には、できるだけ値段が安いものの方がいいのは確かだ。
							つい先日も家庭の主婦は、10円安ければ数キロ遠くても、そっちに買いに行く・・・というような調査結果が発表されていた。
							
							ただ、いわゆるヒット商品の場合には、それはこれまで生活の必需品ではなかったものが多い。
							それでも物が売れるのは、決して"安いから"ではなく・・・"ほしいから"である。
							
							消費者に"ほしい"という気持ちにさせるために、つねに新しい企画を練るのが商売の本道。
							"安さ"を売り物にする100円ショップなどは、それ自体が優れた企画だが、安いだけでは決して売れない。
							
							よく「うちの製品は値段が高いから売れない」などと言い訳をする営業マンがいるが、品物が良くて、しかも安くて、ほっておいても売れるようなら営業マンなんかいらない。
							売れないことの理由ばかり分析している評論家など、社内にはいなくていいのだ。
							
							あなたはパソコン・・・あるいは自動車をこれまで何台買い換えましたか?
							そして買い換えた後と前では、何が変わりましたか?
							貯金が減ったとか借金が増えた以外に。