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Episode No.8530(20251206):[日記]Diary
虫神
虫神…
チュウシン?
ムシガミ?
とにかく
こんな言葉が
あるかどうかは
知らないが…
神サマ
または
神の化身のような
虫に出会ったことは2回ある
最初は50を過ぎた頃
伊豆下田へ
通い始めた頃の話で
下田富士に登った時のこと
頂上の少し手前は
岩肌になっていて
その手前には
女人なんたら…と書かれた
大昔の石碑が建っていた
たぶん
危ないから
女は登んない方がいい
…という
意味ではないかと
思われるほど急な岩肌だ
そこで息を切らしていると
一羽の真っ黒いアゲハ蝶が
目の前を横切って
行く手の岩肌の上で
ホバリングした
まるで
早く来いと言わんばかりに
何となく励まされた気になって
岩肌に踏み出すと
後方から十羽くらいの
真っ黒なアゲハ蝶が
頭の上を通過していった
呼ばれていたのは
自分じゃなくて
こいつらだったのか
虫好きの手塚治虫が
蝶がフェロモンを飛ばしなから
作る…蝶道というのがある
…と話していたのを思い出す
かくして頂上まで上がると
鳥居の向こうに
小さな広場のような境内があって
その先に祠が見えた
鳥居をくぐると…なんと
さっきの黒いアゲハ蝶たちが
弧を描いて飛び回っている
それはそれは神々しい光景で
たいそう歓迎されている気がした
2回目は60を過ぎた頃
近所に市民の森ができて
土日の散歩コースになった
森を抜けて急な坂を下りる途中
まだ
歩いたことのない道を見つけた
好奇心で進んで行くと
結局は行き止まりだったが
擁壁の一部に階段を見つけたので
そこを登ってみることにした
ほぼ不審者の行動ではあるが
周囲には誰ひとりいない
草ボウボウの階段を登ると
そこも行き止まりだったけど
見猿聞か猿言わ猿が掘られた石碑と
小さな祠があった
このあたりは
鎌倉に通じる途中の村落だから
昔から人が住んでいて
こうした石碑も
少なからず残っている
後で少し調べてみると
見猿聞か猿言わ猿を掘るのが
ブームになった時代もあるようで
そういえば
少し離れた別の場所にもあった
さてこの石碑には
しばらく
誰も訪れていない様子だった
周囲に人家はあるが
おそらく先代までは
時折手入れする人があっただろうが
代が変わって
誰も来なくなっているという感じだ
見猿聞か猿言わ猿を
なんとはなしに撫でていると
奧の竹藪からノイズが聞こえてきた
…スズメ蜂である
それもかなり大きい
一匹のスズメ蜂が
石碑と自分の間に飛んで来て
こっちをジッと見たまま
ホバリングしている
鼻先20〜30cmの距離だ
ハッキリと目は合っていたが
やがて何かを悟ったのか…
スズメ蜂はまたスッと
奧の竹藪に消えていった
こいつは悪い奴じゃない
…と思ってくれたのかな
以後
時折この石碑には
酒を届けている
あいかわらず
誰も来ていない様子で
新しい酒を供えては
前回供えた酒の空瓶を
持ち帰る…といった具合
こういう経験は
必ず独りでいる時に起こる
対話の相手は
人間ばかりとは限らない