P「真の知識の上にのみ、真の国家統治ができる」
R「それは理想ですがね、プラトンさん。日本という国は、どうもそうではないな・・・私の経験からすると」
P「力で押さえつけることはできても真の統治はできんでしょう? やっぱり」
R「それはそうかもしれんが、真の統治かどうかは別として、現実問題として統治する者は、やはり力のあるものだ。頭ばかり良くてもねぇ・・・」
P「あなたは日本に長いこといらっしゃって、こういう言葉を聞いたことがありませんか? 文武両道」
R「それも理想主義でね。たいてい"武"の方が勝った人間が威張ってましたよ」
P「あなたは誤解なさってますね。私は哲学者だが、ほれ見なさい、この力こぶ」
R「こりゃ驚いた。それこそギリシャ彫刻のような」
P「哲学者と言うと、理屈ばかりこねている青びょうたん・・・と思ったら大きな間違いです。これでも私は、レスラーとしても活躍していたんです」
R「それは、さぞかし高貴な試合だったでしょう」
P「バカ言っちゃいけません。当時のアマレスは、現在のプロレスより激しいモンでした。相手の鼻や口をふさいだり、指を折る程度のことでは反則にならなかった」
R「それじゃ、まるで殺し合いだ」
P「人間の闘争本能の原点です」
R「しかしルールやエチケットはないと・・・」
P「当時はそれが当たり前」
R「その当たり前・・・が怖いのです。大名が通ったら、道をゆずるのは当たり前だとは思っていましたが、大名の前をUターンした程度のことで殺されるとは・・・」
P「だから言ってるでしょ。力だけでなく・・・やっぱり知識は必要なんです」
■プラトン(古代ギリシャの哲学者)前427-前347 享年80歳
■リチャードソン(1862年生麦事件で殺害されたイギリス人) 享年?歳