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Fictional Talk No.028(990314)
架空対談 
歴史とは

L「お誕生日おめでとう! バービー」

B「あら、リカ! ありがとう。今日、おチビちゃんは?」

L「娘は、主人といっしょにお留守番」

B「そう。優しいダンナさんね。フランスの・・・確か外交官だったわよね? ダンナさん」

L「ええ。フランツは外交官」

B「職場結婚だったわよねぇ、あなた」

L「厳密に言うと職場は違ったけれど、私も外交官としてフランスに行ってたから、そこで知り合ったの。私のパパはフランス人で、ママは日本人でしょ。フランツもパパはフランス人だけど、ママがフランス人と日本人のハーフだから、お互い似たような感覚で気が合ったのね」

B「なるほどね。そういえばリカ、あなたも再来月はお誕生日ね」

L「5月3日で32になるわ。・・・ねぇバービー、ところであなた、ケンとはどうなの?」

B「ケンはあくまで仕事上のパートナー。結婚とか出産なんて考えたことないわ。・・・あなただって、わたるくんとは結婚しなかったじゃないの」

L「それは、そうだけど・・・あなたも、もう40になったんだから・・・」

B「私には、あなたのように年をとるなんていう設定は、もともとないのよ。だいたい、リカ。あなただって普通の人から見れば永遠の小学4年生で、その後30年のストーリーがあるなんて、よほどのマニアでない限り知らないでしょ」

L「まぁね、今売られている小学生のリカちゃんが、私・・・つまり元祖リカの娘という設定になってなんて、知ってる人は少ないと思うわ」

B「ただ、私だって時代に合わせて職業の幅は広がっているのよ。スチュワーデス、歌手、モデルといった憧れの職業だけじゃなく、教師や獣医、それに宇宙飛行士から兵士までこなしちゃうんだから。私たち女の子は何だってできる!・・・これがバービーのスローガンよ」

L「バービーのバリエーションは確かにスゴイと思うわ。私のように小学生のカタチをした人形では、それだけのことをこなすには無理があるものね」

B「私の衣装は毎年100種類以上も新しいものが作られるの。アメリカの女の子のうち90%以上が私を持ってる。今まで世に送り出した5億体の人形のために作られる衣装の消費量もハンパじゃないわよ。おかげで私を作ってるマテルは玩具メーカーでありながら、アメリカで4番目に大きな婦人服メーカーになったほどだもの」

L「スゴイわね。・・・でも、ちょっと贅沢すぎないかしら?」

B「あら、そんなことないわよ。80年代にある研究家グループが、赤ん坊の人形で遊んでいる子供たちと、私のようなファッション人形で遊んでいる子供たちの比較調査をしたら、私のような大人の人形で遊んでいる子供たちの方が、人をひっかいたり、悪口を言ったりすることが、はるかに少ないことがわかったの。"ごっこ遊び"が、子供たちを社会的に育てるために、いかに必要なことかがはっきりしたわ」

L「なるほどね。何でも文化に結びつけてしまうところが、アメリカのスゴイとこよね」

B「あら、リカ。あなたの国だって、パフィ人形やら、ひなの人形やら、リカのアイドル・バージョンを次々出して・・・何でも商売に結びつけてしまうところがスゴイじゃない?!」


リカちゃん人形(5月で発売32周年を迎えるタカラのドル箱人形)1967-
バービー人形(3月で発売40周年を迎えた近代ファッション人形の元祖)1959-


参考資料:「おもちゃの20世紀」アンドルー・マクラリー著 忠平美幸=訳 平凡社=刊
     「タカラランド"リカちゃんのアルバム"」http://www.takaratoys.co.jp/JOY/album.htm

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