ピクサーからの手紙(3)
 ピクサーからの手紙 2000.4.16 up 

こちらは、まず英語の原文からご紹介する。

【原文】

I think the director's idea was to continue the surreal quality of the film.
Were there really two Geri's? Did it happen at all or was it all a dream? In any case, we have had many questions like yours and the choice not to have the chess pieces on the ground at the end is a matter of persoanl interpretation!

Thanks for your interest.

Best reagrds,

Webmistress

ファンとしては、ちゃんと返事が来たというコトにまず感激。

英語が不得手な私は、まず自動翻訳ツールを使って大意をつかんだ。
「ようするに、ご想像におまかせします」ってコトだなと。

しかし、せっかくもらった返事なので・・・。
見せびらかしたい気持ちもあって、身近で英語ができる2人にこのメールを転送してみた。ひとりは原文の翻訳をお願いした方。

問題はここから・・・。
原文の翻訳をお願いした方からから返事をいただく前に、もうひとりの方から、こんなメッセージが入ってきた。

【訳文】-1

なんか向こうにはこういうメール担当の女性、ウェブマスターならぬウェブミストレス「ウェブ女王」がいて、その人が個人的な意見を「たぶん制作者は・・・」っていうことで返事きてるみたい。


ディレクターの意志はフィルムの超現実的な質を追求することにあったと私は思います。
本当に2つGERIがあった(いた)のか?

本当にあったことなのか、はたまた全ては夢なのか?

いずれにしても、私たちは貴方からと同じような質問をたくさん受けていて、最後にチェスのコマが地面に落ちてないほうがいいっていうのは、個々の解釈の問題です!


っていうようなことが書いてあり、ちょっと俺は腹立たしさを感じたよ。
なんかピクサーのメール窓口担当はいい加減だ。っというか本当にこのような質問がいっぱいあって、忙しい制作者たちが目を通して、一つ一つに答えている時間がないのが実状なんだろうと思うけど。

質問に対するところの回答はこれに含まれていないし、これは俺が思うには本質的には「勝手に考えろ」メールだとしか思えない。

実は、こう言ってきたのは10歳下のうちの弟。彼は英語を仕事に活かすことを考えている。
そこで、私はこういう返事を彼に送った。



勝手に考えろ・・・なんていうニュアンスのメールをいちいち返信してくるとは思えないな。
もちろん制作者本人からメールが返ってくるとも考えてはいなかった。
要はピクサーという会社にファンの声に答える姿勢があるかどうか知りたかった。
そういう意味では充分「さすがはピクサー」と言えるだろう。
なかなか、こういう一銭にもならないところに担当者を置いて対応させる会社は・・・大企業にもないからな。

おまえが腹が立つのは、相手の真意を文字ヅラ以上に読みとれないからじゃないのか?

置かれたシチュエーションから真意をくみ取ることができなければ正確な翻訳などできないだろう。
小説の翻訳を英語ができるというだけでなく、英語ができる小説家がやっているように・・・。
うまくくみ取れないとケンカにすらなりかねない。ことに手紙のやりとりの場合には、相手の表情がわからないから。
面等むかって話すことは多少言葉さえできれば誰でもだきるだろう。場合によっては笑ってゴマかすだけでも、笑うということ自体にメッセージが含まれている。
しかし読み書きとなると、そうはいかない。そして会話ができても正確な読み書きができないと・・・ビジネスとしては役に立たないだろうな。
ビジネスの上で求められる英語力というのは、少なくとも機械翻訳以上の能力。
その能力は言うまでもなく「まともな」日本語と思考力がないと育たないと思うな。



同じような内容でも、私は以下のように解釈した。かなり超訳はあるかも知れないけれど・・・。

【訳文】-2

おそらく、ディレクターは超現実的な世界を追求していた・・・と私は思うの。

はたして本当にゲーリー爺さんは2人いたのでしょうか? それとも、ひょっとしたら、すべてが夢の世界の出来事だったのかも知れません。

チェスの駒が最後に落ちていないというのは、そのヒント?! 実は、同じようなご質問はたくさん寄せられましたけれど、それはご覧いただいた方々の個々の解釈におまかせしたいと存じます。

私どもの作品に関心を寄せていただき、どうもありがとうございました。

単純に敬語を使っただけでも、だいぶニュアンスは変わってくると思う。
まして相手が女性だとわかっていれば、手紙よりメールの方が話し言葉に近いから、女性の言葉で書くだけでも、だいぶ柔らかくなってくる。

最初に手紙の翻訳をお願いした、永年にわたって英語をビジネスで使っていらっしゃるベテランの方は、私の解釈について、こういうメールをくれた。

「名訳だと思います。名訳には超訳が必要です」

ホームページをごらんの方の中には、かなり英語がご堪能な方も大勢いらっしゃると思いますが・・・どう思います?
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