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ようやく新しい土にもなじんだ頃、ひと組の親子がやってきやした。 見ると男の子を肩車したオヤジは、工事の時にあっしに登ってきた男。 その親子の会話を聞いていて、あっしはすべて合点がいきやした。 「この公園もパパがつくったの?」 「そうだよ、広くてキレイだろ」 「でも、この木、ちょっと邪魔だね。もっと遊べるものを置けば良かったのに」 「この木だって充分に遊べるさ。・・・この木はね、パパが子供の頃に遊んでもらった木なんだよ。ほら、登ってごらん」 男の息子は、男が悪ガキだった頃に比べると、ずい分ときゃしゃな感じがしやしたが、それから何度となく遊びに来てるうちに、グングンと木登りが上達して、とうとうテッペンまで来られるようになりやした。 こともあろうに、ポケットにはナイフをしのばせてね。 「いてぇな、こん畜生!」 おしまい |