第4回■ボクの引っ越し 6/6
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ようやく新しい土にもなじんだ頃、ひと組の親子がやってきやした。
見ると男の子を肩車したオヤジは、工事の時にあっしに登ってきた男。

その親子の会話を聞いていて、あっしはすべて合点がいきやした。

「この公園もパパがつくったの?」

「そうだよ、広くてキレイだろ」

「でも、この木、ちょっと邪魔だね。もっと遊べるものを置けば良かったのに」

「この木だって充分に遊べるさ。・・・この木はね、パパが子供の頃に遊んでもらった木なんだよ。ほら、登ってごらん」

男の息子は、男が悪ガキだった頃に比べると、ずい分ときゃしゃな感じがしやしたが、それから何度となく遊びに来てるうちに、グングンと木登りが上達して、とうとうテッペンまで来られるようになりやした。

こともあろうに、ポケットにはナイフをしのばせてね。

「いてぇな、こん畜生!」

おしまい

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