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Episode No.064:アカナスの食べ方

時は1872年。

新橋〜桜木町間に日本で初めての鉄道が開通。政府は近代的学校制度である"学制"を公布。福沢諭吉の『学問のすすめ』がベストセラーになっていたこの頃、新しい野菜がお目見えした。

その和名を"アカナス"という。

"アカナス"は、南米原産。ヨーロッパへは16世紀頃伝わり、18世紀初めには日本にも紹介されているが、その頃は観賞用であった。

1872年頃の食べ方は、およそ以下の通りだ。

焼く時は、よく水洗いしたうえで串に刺し、そのまま茶褐色になるまで火にかける。焼き上がったら、塩梅をつけて食べる。

蒸す時は、好みにより塩、またはコショウをふりかけ、風味を出すためにバターを加えて食べる。

生で食べる時には12等分に切り、白糖と酢をかけて食べる。

その後"アカナス"が食用として一般庶民の間に広がったのは、昭和に入ってからのこと。
加工用として幅広く栽培されはじめたのが大きな理由だ。

その頃から和名は陰をひそめ、洋名で呼ばれるようになった。

トマト・・・お好きですか?


参考文献:「歴史新聞」日本文芸社=刊 ほか

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