Episode No.054
「チャールズ、すまんがちょっとうちの娘の面倒を見ていてくれないか」
オックスフォード大学で数学の教師をしていたチャールズ・ルドウィッジ・ドジソンは独身だったが、子供と遊ぶことは大好きだった。
そんな彼を見込んで、今日も同僚のリデルは娘を彼に押しつけた。
リデルの娘もチャールズが大のお気に入り。
いつも、なぞなぞをして遊んでくれたり、写真を撮ったりしてくれて、ちょっとしたモデルの気分も味わえる。
とくに楽しかったのが、チャールズが自分を主人公にした話をしてくれたこと。
それは、彼の即興で実にとりとめもない話だったが、好奇心旺盛な子供の心をとらえて離さなかった。
こうして出来上がった話を彼は本にまとめてみることにした。
もちろん主人公はリデルの娘、アリス。
ルイス・キャロルのペンネームで出版された『ふしぎの国のアリス』は、その後、世界中の子供たちの心をもとらえることになった。
思いつきも才能のうち・・・。
ただし、カタチにできなければ折角の才能も思いつきに終わってしまう・・・というわけ。 |