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Episode No.052

佐々木投手が最後に土壇場の底力を見せて、注目の日本シリーズは横浜ベイスターズが38年ぶりの日本一を決めた。

ところで、この"土壇場"という言葉には、かなり物騒な由来がある。

江戸時代、加賀の金沢をはじめ、多くの地方で行われていた死刑の方法として"生胴(いきどう)"と呼ばれるものがあった。

"生胴"の方法とは、土を二尺(約75cm)ほど盛り上げた上に、竹で手足を縛った罪人を横たわらせ、それを2人の斬り手がいっせいに刀をふるって首を斬り落とすという残酷なもの。

この罪人を置く、土を盛り上げた場所を"土壇場"という。

そこで、江戸後期から、どうにもならない状態を"土壇場"というようになった・・・というわけ。

投手にとってマウンドは、まさに"土壇場"。

決して逃げ出すことはできないが、もちろん罪人のように手足の自由を奪われているわけではない。
思い切って腕をふるえば、必ず良い結果が返ってくる。

横浜ベイスターズの祝勝会に用意されたビールは、3,000本。
選手たちは、地獄の苦しみから一転して天国の気分に酔いしれているに違いない。


参考文献:「ことばの豆知識」さくら銀行=編 三笠書房=刊

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